ミニ・ペースマン・クーパーS

公開 : 2013.03.26 16:48  更新 : 2017.05.29 19:15

ミニは商品性の上では特殊なそれではあるけれど、つまるところBセグメント車である。そしてBMWミニ部門はBセグメントだけで孤軍奮闘する異例の存在である。当然ビジネスはきつい。コンバーチブルやワゴン(クラブマン)といった原初版にもあったバリエーションを送り出し、あの手この手の限定版も追加することになり、さらにはクーペという苦肉の策まで生まれた。そこで終わりかと思ったところに、一昨年クロスオーバーが追加された。これはホイールベースを13cm伸ばし、全高を持ち上げて体躯を大柄にした発展版。車体寸法から見ればCセグメント級だが、中味はやはりBであり、要するにマーチジュークの関係である。そして彼らは手を休めず、そのクロスオーバーの2ドアクーペ版を仕立ててきた。それがペースマンである。

狭さを逆手にとってキャラクターとしているミニ基準車に対し、上屋を膨らませたクロスオーバーは、わりと健康的な室内空間を持っている。前席は高めに座って背中を立てる姿勢になる。Aピラーも側面も寝ていないから、最近の小型車にしては異例に頭の周りに圧迫感もない。後席も着座位置は前席のそれより十分に高くて視界も悪くない。そのクロスオーバーをクーペ化し、おまけにルーフが後ろ下がりになるスタイリングを採ったのがペースマン。となれば心配になるのが後席である。だが、左右セパレート2座レイアウトのそこに座ってみると、頭が天井につっかえたりはしないことに気づく。膝が前席に当たったりもしない。カッコ優先で空間的な齟齬に目をつぶったわけでは決してないのだ。

という風にパッケージ的には意外に真摯なのだが、構成パーツのつくりは懇切丁寧とは言えぬ。例によって工夫を凝らした演出に目が慣れたところであらためて観察すればそれが分かる。前席は薄く硬い座面を高く持ち上げているだけで、お尻を載せた感触は芳しくない。後席の座面長は不足して、小さなリヤドアからの出入り性を考慮したのか隅切りも大きいから、下半身の落ち着きはよろしくない。爪先を前席下に入れようとすると、そこに床部横断メンバが横たわっていて、足もまた落ち着きに欠ける。後方視界も(特に斜め後ろが)懼れていたとおりよろしくない。ある種の見切りがそこに存在していることが分かるのである。

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