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始動直後のアイドリングはNGです

佐藤自動車工業所の佐藤です。
ポルシェ356のエンジンを始動した直後は、回転を上げたまま最低でも30秒は維持します。
最低2000回転以上は必要(ギアポンプの宿命)ですが、ナロー911のように4000回転!までは上げなくても良いでしょう。
私は、今掛けた「そのエンジン」が回りたがる、一番気持ちの良い、雑音の少ない、静かなメカ音のする高回転にしておきます。
回転数は、「そのエンジン」の調子によりますので、具体的に何回転とは書けません。
エンジンを掛けて高回転にするのは、最初に油圧を高くして各部にオイルを供給するためです。
また、キャブレターから送った余分なガソリンを飛ばす意味があります。

スタートしてすぐアイドリングにすると、356では油圧がとても低い状態になってしまいます。
Aタイプなどの、すぐに青ランプが点灯するエンジンならば、特に油圧が掛からないバルブ系統(ひっかけ給油です)にダメージがたまりやすくなります。
特に排気バルブにはほとんどオイルが行かないので、高回転時の引っ掛け給油に期待するしかありません。

さらに始動時に送り込んだ、大量のガソリンはアイドリングでは燃え尽きません。
高回転にしてガスを飛ばさないと、シリンダー内部やピストンリングにも悪影響があり、プラグも汚れてかぶりやすくなります。
356の横向きのシリンダー内部には、いつもオイルが残っています。
このオイルが大量のガソリンを含んだまま、シリンダー内部を「潤滑」すれば…。
以前に書いたように、油圧があるならクランクシャフトとメタルは「ほぼ永久に」磨耗しません。
しかし油圧が無い始動時は一番エンジンが磨耗する、とても難しい瞬間なので人間が面倒を見るのです。
現代の「水冷」車は薄いオイルを使って各部への浸透をよくして耐久性を上げています。
ポルシェ356のような「空冷」では、高性能バイクと同じく、油温が高くなりがちです。
そのためにオイル皮膜が薄く、弱くなることや、分割シリンダーの薄いシリンダー壁のしなりによる内部クリアランスの変化もあり、粘度の高い(浸透しにくい)オイルを使う必要があり、オイルが回っていないスタート直後には特別に神経を使う必要があります。

現代の車でエンジン始動直後にガラガラ音がするエンジンがありますが、これは油圧タペットという油圧装置にオイルが回らずに起こる音で、初期の段階ならオイル交換すれば音がしなくなります。
ポルシェ356でガラガラ音が出てしまうと、どこかのオイル切れが原因で、オイル交換しても手遅れが多いようです。

佐藤自動車工業所

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