ポルシェ356のイグニッションキーについて

佐藤自動車工業所の佐藤です。
ポルシェ356のBタイプ、Cタイプ以後は、エンジンキーの溝が上になるのがオリジナルのようです。
確実なことが言えないのがもどかしいですが。
溝が下向きの場合、全体が回っていて裏側の配線がねじれている場合がほとんどです。
キーは左の指で回しますが、スイッチ内部には「再始動防止」のために、ロックが仕込んであります。
右に回して戻すと、すぐには右に回せなくなります。
いまでもドイツ車に付いていることが多いのですが、国産車では見ない仕組みです。
エンジンが掛かっているのに気付かず始動させようとして、セルモーターとフライホイールのギアを傷めることを防ぎます。
逆にロック機構が壊れ「左側一杯に戻さないと」回らなくなっているスイッチもあるのでご用心です。

ちなみに「左側」はアクセサリー・ポジションになっていて、ラジオが動きます。
「左側」ではキーが抜けないのが正解ですが、中には「左側」で抜けるものがあります。
その場合、「謎のバッテリーあがり」がひんぱんに起きますので、これもご注意です。
このほか「左側」の位置に、コイル電源を間違って配線している356もありました。
犯人はレストアした鈑金屋さんのようです。
この場合イグニッション・コイルが焼けるので、とてもかかりにくくなります。
止める時に「左側」にすると、ラジオや知らないところに電気が流れ、バッテリー上がりの原因になります。
ちなみにバッテリー上がりでよく疑われる「時計」は、無実潔白のことが多いのです。
佐藤自動車工業所
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