249km/hに耐えるソフトトップ メルセデス・ベンツCLE 450 カブリオレへ試乗 美しい海岸線を味わいたい

公開 : 2024.05.19 19:05

新しいメルセデス・ベンツCLEにカブリオレ登場 風洞実験を重ね、249km/hでも変形しないソフトトップ ゆったりクルージングを楽しむのがピッタリ 英国編集部が評価

249km/hでも変形しないソフトトップ

メルセデス・ベンツは、バッテリーEVの開発へリソースを集中している。内燃エンジンを載せたモデルの開発は、多少後回しになっている。その結果、CクラスEクラスのクーペとカブリオレは統合。中間的な、CLEが誕生するに至った。

既にAUTOCARでは、クーペのCLEへ試乗済みだが、今回機会が巡ってきたのは開放的なカブリオレ。指定された場所も、西サハラ沖の大西洋に浮かぶカナリア諸島の1つ、陽気なテネリフェ島だった。

メルセデス・ベンツCLE カブリオレ(欧州仕様)
メルセデス・ベンツCLE カブリオレ(欧州仕様)

CLE クーペのルーフを切り取るうえで、重視されたのが空気力学。カンバス製のソフトトップは、同社の風洞実験施設で、じっくり形状が練られたそうだ。

キャビン周辺を流れる気流を整え、風切り音は低減。249km/hの最高速度でも、変形しないことが確かめられている。オープンでの走行時には、風圧で生じる耳障りな響音が抑えられている。

実際、ソフトトップを閉じた状態で高速道路を走ってみると、車内は印象的なほど静か。洗練された、高級感を醸し出している。速度が増すほど空気の流れをノイズで感じるものの、ボリュームの変化は感心するほど小さい。

陽気を直接感じたい場合は、20秒でソフトトップは後方へ折りたたまれる。64km/hまでなら、走行中でも開閉可能だという。しかも、車内は快適なまま。車内へ吹き込む乱気流は見事に抑えられ、高速域でも助手席の人と普通に会話できる。

ゆったりクルージングを楽しむのがピッタリ

メルセデス・ベンツのカブリオレで快適性を高めているのが、フロントガラス上部に立ち上がるディフューザーと、リアシート後方のシールドで構成される、エアキャップ。その効果は小さいようだが、確かに外界との隔離性を高めていた。

オン/オフを試してみると、圧力差の響音や乱気流が更に小さくなることがわかる。そのかわり、僅かにヒューっと風を切る高音が聞こえるけれど。

メルセデス・ベンツCLE カブリオレ(欧州仕様)
メルセデス・ベンツCLE カブリオレ(欧州仕様)

ポカポカ陽気だったから、オープン時に首元を温めてくれるネックウォーマー、エアスカーフは必要なかった。それでも高速道路で使っても、しっかり暖かいことを確認した。これは無償オプションで選べるため、英国や日本なら選んで損はしないだろう。

カブリオレらしく、気張らず、ゆったりクルージングを楽しむのがピッタリ。美しい海岸線の景色を味わうような速度が、特に滑らかで心地良い。特別な運転体験に浸れる。

サスペンションはしなやかに仕事をこなし、路面の凹凸を優しく均してくれる。宙に浮いたような隔離性ではないものの、殆どの路面の不整を処理してくれる。鋭いエッジ部分で、弱い衝撃を残す程度だ。

ルーフがなくても、ボディが震える様子は殆どない。酷く傷んだアスファルトでは、フロントガラス・フレームの周辺が震える様子が感取され、内装の一部がきしむものの、一般的な条件では平然。ボディ剛性の高さをうかがわせる。

記事に関わった人々

  • 執筆

    サム・フィリップス

    Sam Phillips

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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