マツダ・サバンナRX-7xポルシェ944 S2 似た見た目・異なる個性 2台のカブリオレ 前編

公開 : 2022.09.11 07:05

FRスポーツカーの優れた能力に、大空を謳歌するオープントップを融合。英国編集部がネオクラシック2台を乗り比べしました。

リトラクタブル・ヘッドライトの2台

英国はそろそろ朝晩が肌寒い。ヤシの木が並ぶグレートブリテン島の南東部、エセックス州の海岸線には、まだカラフルなビーチパラソルが列をなしていた。

そんな景色へ滑り込ませるように、2台のクラシック・コンバーチブルを停めた。紅白の鮮明なボディへ、少なくない視線が注がれる。

ポルシェ944 S2 カブリオレ(1989〜1991年/英国仕様)
ポルシェ944 S2 カブリオレ(1989〜1991年/英国仕様)

ガーズ・レッドのポルシェ944 S2は、ブランドの定番イメージからは外れているだろう。1989年当時の新車価格は約3万9000ポンドで、クーペより5000ポンドも高かった。登場から30年以上が経過するが、いまでも優雅な佇まいには自信が溢れている。

他方のマツダ・サバンナRX-7 ターボIIは、活発なサウンドを響かせ意欲的。鮮やかな青空に、純白のボディが映える。このクルマの存在を知っている英国人は、今となっては少数かもしれない。

1989年の英国価格は2万4000ポンドだった。新車の頃は944より手頃ではあったが、現在では遥かに珍しい。同年式のFRのポルシェより、多くの関心を集めるクルマだろう。

2台ともリトラクタブル・ヘッドライトが与えられ、優しくカーブを描くフロントノーズの先端は低い。ブリスター状に膨らんだフェンダーが、小ぶりなアルミホイールを引き立てている。クルマへ近寄ると、インテリアのディティールも観察したくなる。

意気揚々と路面を掴む944 S2 カブリオレ

ポルシェ944 S2 カブリオレは、端正なフォルムから想像する通り、意気揚々と路面を掴んで走る。肉付きの良いテール周りと彫りの深いボンネットは、先代の924からの進化を感じさせる。

そもそも924は、フォルクスワーゲンとの共同開発プロジェクトとしてスタート。長いボンネットに、アウディ100譲りの直列4気筒エンジンを搭載し、トランスミッションがリアデフ側に組まれるトランスアクスル構造が取られた。

ホワイトのマツダ・サバンナRX-7 カブリオレと、レッドのポルシェ944 S2 カブリオレ
ホワイトのマツダ・サバンナRX-7 カブリオレと、レッドのポルシェ944 S2 カブリオレ

それに続いた944ではスタイリングを継承しつつ、928用のV型8気筒を半分に切り落とした4気筒エンジンへ置換。ボアアップで排気量を2.5Lにした、正真正銘のポルシェ・ユニットが載っている。

一体成型された強固なエンジンブロックには、三菱が特許を保有していた技術、バランサーシャフトが組み合わされ滑らかな回転を実現。ノッキングセンサーの採用で圧縮比を高め、熱力学的に最適化されたポルシェだと、自負されたユニットだった。

1987年の944 Sでは、ダブル・オーバーヘッド・カム(DOHC)化。1989年のS2では3.0Lへ拡大され、10.9:1の圧縮比で211psを実現させた。オプションでSパッケージが用意され、944 ターボ用のボディキットやサスペンションを組むこともできた。

944にコンバーチブルが設定されたのも、S2になってから。クーペボディからの構造変更を請け負ったのは、ドイツ・シュツットガルト近郊に構えていたコーチビルダーのカロサビヴァーク・ヴァインスベルク社。後のアメリカン・サンルーフ社だ。

記事に関わった人々

  • 執筆

    アーロン・マッケイ

    Aaron McKay

    英国編集部ライター
  • 撮影

    ウィル・ウイリアムズ

    Will Williams

    英国編集部フォトグラファー
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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