【日本企業初!営業利益が5兆円超え】 トヨタが別格ともいえる決算説明会を開催 投資を強化も

公開 : 2024.05.10 07:05

都内でトヨタが決算説明会を開催しました。日本企業初!営業利益が5兆円超えという記録を残しながらも、このタイミングで「未来に向けた投資」を強化するとも発表しています。

空前の5兆円超え

トヨタの決算内容に対して、自動車産業界からは驚きの声が上がっている。同社は都内で5月8日、2024年3月期の決算説明会を開いた。

それによると、営業収益は45兆953億円、また営業利益は5兆3529億円となり過去最高。日本企業で営業利益が5兆円を超えるのも初めてだ。

トヨタが過去最大・営業利益5兆円超え
トヨタが過去最大・営業利益5兆円超え

この発表同日や、その少し前にも大手企業各社の決算が続いているが、トヨタの決算内容は別格ともいえる数字が並んだ。5兆円といえば、日系では販売台数で中位の自動車メーカーの売上を超える規模だ。

営業利益5兆3529億円の内訳で、最も大きいのが「営業面での努力」とする2兆円だ。具体的には、ハイブリッド車を中心とした販売台数の増加、高収益車種の好調な販売による構成の改善、さらに北米・欧州を中心とした価格改定も収益の好材料となった。

その上で、前の期に比べて連結販売数で107%の944万3000台と伸びている。

仕向地別では、北米がハイブリッド車の好調などで117%の281万6000台で最も多い。

次いで日本は、ダイハツと豊田自動織機による認証不正問題に起因する出荷中止の影響で96.3%と減少した199万3000台、アジアが103%の180万400台、115.7%の欧州が119万2000台と続く。また、中南米・オセアニア・アフリカ・中東などをまとめて「その他」と分類し104.6%の163万8000台となった。

単年度での成果ではない

事業好調の背景について、チーフファイナンシャルオフィサーの宮崎洋一副社長は「2023年3月期までのコロナ禍、半導体供給ひっ迫、そして資材価格高騰があったが、そうした事業環境が安定化し、ここ数年でトヨタが進めてきた収益構造強化の取組が上手く噛み合った」と説明した。 

具体的に、どういうことか?

トヨタが過去最大・営業利益5兆円超え
トヨタが過去最大・営業利益5兆円超え

新車では近年、グローバルにおける各種の規制や、最新技術の取り込みによりコスト上昇傾向にある。例えば、電動化によるバッテリーなどの電動部品や、先進運転支援システム(ADAS) など予防安全機能の標準装備が進むなど、クルマの原価を押し上げる要素が様々ある状況だ。

それら部品の調達では、円安によってコストが上がるというのが、一般的な見方である。

これに対してトヨタは、コロナ禍やロシアのウクライナ侵攻によりグローバルで物流が滞る中、部品調達について新たなる方策を打ってきた。部品を製造する様々な分野の第1次部品メーカー(ティア1)との情報共有をさらに密にすることに加えて、その先にいる第2次部品メーカー(ティア2)とも場合によっては直接交渉することで、部品開発の詳細、製造から納入の時期、そしてコストをトータルで管理できる仕組み作りをしてきたのだ。

具体的には、半導体メーカーがそれにあたる。熊本での工場稼働に向けた準備が進む台湾TSMCだ。トヨタが出資するかたちを取った。

記事に関わった人々

  • 執筆

    桃田健史

    Kenji Momota

    過去40数年間の飛行機移動距離はざっと世界150周。量産車の企画/開発/実験/マーケティングなど様々な実務を経験。モータースポーツ領域でもアメリカを拠点に長年活動。昔は愛車のフルサイズピックトラックで1日1600㎞移動は当たり前だったが最近は長距離だと腰が痛く……。将来は80年代に取得した双発飛行機免許使って「空飛ぶクルマ」で移動?
  • 編集

    AUTOCAR JAPAN

    Autocar Japan

    世界最古の自動車雑誌「Autocar」(1895年創刊)の日本版。

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