ビッグモーター以下! 前代未聞! 旭川トヨタの「封印不正」はどれくらいダメなこと?
公開 : 2024.04.09 17:45
3月末に知られることとなった旭川トヨタの「封印不正」について実例や、そもそもナンバープレートに付いている「封印」の意味についておさらいします。旭川トヨタによる前代未聞の不正行為…「封印不正」の内容とは?
新車ディーラー前代未聞の「封印不正」とは?
旭川トヨタの「封印不正」が3月21日、ニューモデルマガジンX誌のスクープによって世に知れることになった。
実は筆者も以前、情報提供を頂いて旭川トヨタにおける「認知症高齢者への車販売」についての記事をマガジンXに寄稿したことがある。明らかに認知症を患っている歩行困難な高齢者に対して次々とクルマを販売していたという話である。
たびたび物損事故を起こし、そのつど旭川トヨタの販売店に修理で入庫しているにも関わらず、同社は筆者の取材に対し「認知症だとは思わなかった」と回答している。旭川トヨタといえば、日本一広い販売エリアを持つ販売店であり、2023年夏には街路樹伐採問題が報じられたレクサス旭川も同社が経営している。
さて、その旭川トヨタによる前代未聞の不正行為…「封印不正」の内容は以下の2点である。いずれも国交省が認めている不正である。
1.事故でバンパーなどを修理した際に封印を外したあと、同じ封印を使って「再封印」していた。
2.新車販売時の封印取り付けを届出事業場以外の場所で封印取り付け担当者以外の者が行っていた。
1に関して独自に修理業者にリサーチしたところ「板金工場ではそれが普通でしょ」「封印外しなどの道具を使ってきれいに外して再利用すれば問題ない」などの回答が大半を占めていた。
しかし、2の新車への封印不正に関しては「そんな話は聞いたことがない」「ディーラーが封印の不正? それはヤバい」などの声が聞かれた。1も2も道路運送車両法違反となる。
そもそも「封印」とは何なのか
AUTOCAR JAPAN読者の皆様ならナンバープレートの封印が非常に大事なものだということをご存じだろう。
封印はナンバープレートが交付された際、車台番号/自動車検査証/ナンバープレートを確認したうえでその同一性が確保されたことを証明するもので車両の所有権の公証や特定の他、車両盗難などの犯罪を防ぐ役目も担っている。
ナンバープレートに封印がないクルマや1円玉をはめ込んでいる場合は別のナンバーに付け替えられた盗難車である可能性が極めて高い。
道路運送車両法第11条によりナンバープレートに封印を取り付けないままに公道を走ることは禁じられている。封印の上にペットボトルのふたを被せるなどして文字が見えないようにすることも違法行為である。
封印には「東」「神」「福井」などの文字があるがこれらはそれぞれ東京、神奈川、福井といった管轄の運輸支局を意味する地名だ。封印は外務省が発行する青い「外ナンバー」にもつけられており、封印には「外」の文字が刻印されている。
そして、封印の取付は国土交通大臣または道路運送車両法第28条の3第1項による委託を受けた「封印取付受託者」が登録された場所でしか行うことができない。(資格を持つ行政書士による出張封印等を除く)
また、一度外した封印はいかなる場合も再利用(再封印)は不可。そもそも、移転登録によるナンバープレート変更や整備や修理などやむを得ない理由以外で外した時点で道路運送車両法第11条違反となり、6カ月以下の懲役か30万円以下の罰金が科せられる。
また、故意に封印を外した状態(破損も含む)で公道走行した場合は同じく第19条違反で罰金50万円以下にまで増額される。無車検運行や自賠責切れと同レベルの重罪だ。
なお、封印はこれまで何度か形やサイズ、仕様などが替えられている。現在の封印は2004年9月以降採用の「自己破壊型」で無理に抜くと封印上部が円形に切り取られ再使用ができなくなる。かつて封印が抜き取られて悪用される例が多発したため抜けにくい形状に改良されているのだ。