【モントレー・カーウィーク】 チケット3000名は即完売!  クエイルはポスト・モーターショー

公開 : 2024.09.10 17:45  更新 : 2024.09.10 19:20

毎年8月中旬、アメリカ・カリフォルニア州モントレーに様々なカーイベントが集う週末、通称「モントレー・カーウィーク」。ここでは「ザ・クエイル・ア・モータースポーツ・ギャザリング」をご紹介します。

こんなカーイベントが他にあるだろうか?

「ザ・クエイル・ア・モータースポーツ・ギャザリング」(以下クエイル)は2009年にスタートしたが、世界最大のスポーツカーの祭典である「モントレー・カーウィーク」において、もはやなくてはならない重要なイベントとなった。

このイベントの中身を一言で表現することは難しい。近年、様々なコンテンツが加わり、そのスケールも年々拡大しているからだ。

2009年にスタートした「ザ・クエイル・ア・モータースポーツ・ギャザリング」。
2009年にスタートした「ザ・クエイル・ア・モータースポーツ・ギャザリング」。    越湖信一

たとえば、普通ならばイベントの締めは派手な花火かもしれない。しかしここクエイルでは、5機編隊で飛行するエアロL-39アルバトロス戦闘機のスペクタクルショーがここクエイル上空を占拠する。こんなカーイベントがいったい他にあるだろうか?

そもそも、このクエイルロッジ・ゴルフコースはコンコルソ・イタリアーノの会場として長く知られていた。旧知のオーガナイザーであるフランク・マンダラーノはMIEという世界最大のマセラティのオーナーズクラブを束ねていた。

その彼がランボルギーニやアルファロメオ、アバルトといったイタリアンブランドのクラブに声をかけ、イタリア車のお祭りをやってみようというアイデアからスタートした。

ところがいろいろあって、クエイルロッジのオーナーであるペニンシュラのカドゥーリー氏が自ら理想のカーイベントを開催しようと乗り出したことから、クエイルのカーイベントは始まった。

メジャーブランドのニューモデル発表の場に

ほんの数年前まではコマーシャル活動は、独立系の少量生産メーカー、たとえばパガーニやルーフ、日本からもケン・オクヤマ・カーズなどがメインで、グリーンの上にシンプルなスタンドを設け、プレゼンテーションをするに留まっていた、テーマに併せたクラシックカーの集会やコンクールデレガンスがイベントの中心であった。

ところが、2024年のクエイルを見てみるならば、前述のように航空ショーまでが行われ、幾つものメジャーブランドのニューモデル発表の場となっているのだ。

今年は、ウラカン後継のランボルギーニ・テメラリオを世界初公開。
今年は、ウラカン後継のランボルギーニ・テメラリオを世界初公開。    越湖信一

例えば、マセラティはGT2ストラダーレをアンベールした。ロードカーであるMC20とFIA GT2カテゴリーに参戦中のレースマシンGT2の中間に位置するという性格付けのモデルで、先代グラントゥーリズモMCストラダーレの進化版とも言える、マセラティらしいユニークなモデルだ。

GT2譲りの空力特性向上とクーリング性能の向上を活かし、アグレッシブなアピアランスに仕上がった。新意匠のフロントバンパー、大型の可変アングルウイングなどに加えてネットゥーノエンジンもパワーアップしている。

ランボルギーニからはウラカン後継のテメラリオがデビューを飾った。ツインターボV8と3基の電気モーターを加えたPHEVの「HPEV」(紛らわしいがランボルギーニはこう呼ぶ) パワートレインは最高出力800馬力を誇り、レブリミットは1万rpmというからまさにレーシングエンジンである。

スタイリングフラッグシップであるレヴエルトのモチーフを活かしつつも、より軽快なイメージでまとまっている。外寸をコンパクトに収めつつも、キャビンスペースはウラカン比でもかなり拡大しており、スーパースポーツ系の主力モデルとしての真摯な作り込みを感じさせる。このクリーンな造形は筆者として中々好みである。

ブガッティ・トゥールビヨンはその新しいPHEVコンポーネントを惜しげもなくディスプレイしているし、その横には恐ろしいパワーを持ったリマック・ネヴェーラRが。そしてアウトモビリ・ピニンファリーナは、ワンオフモデルのバッティスタ・タルガメリカを……。

記事に関わった人々

  • 執筆 / 撮影

    越湖信一

    Shinichi Ekko

    イタリアのモデナ、トリノにおいて幅広い人脈を持つカー・ヒストリアン。前職であるレコード会社ディレクター時代には、世界各国のエンターテインメントビジネスにかかわりながら、ジャーナリスト、マセラティ・クラブ・オブ・ジャパン代表として自動車業界にかかわる。現在はビジネスコンサルタントおよびジャーナリスト活動の母体としてEKKO PROJECTを主宰。クラシックカー鑑定のオーソリティであるイタリアヒストリカセクレタ社の日本窓口も務める。
  • 編集

    平井大介

    1973年生まれ。1997年にネコ・パブリッシングに新卒で入社し、カー・マガジン、ROSSO、SCUDERIA、ティーポなど、自動車趣味人のための雑誌、ムック編集を長年担当。ROSSOでは約3年、SCUDERIAは約13年編集長を務める。2024年8月1日より移籍し、AUTOCAR JAPANの編集長に就任。左ハンドル+マニュアルのイタリア車しか買ったことのない、偏ったクルマ趣味の持ち主。

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