BMW 440i グランクーペ・ラグジュアリー

公開 : 2016.06.13 23:50　　更新 : 2017.05.23 10:23

「ラグジュリー」を選んでも、トランスミッションは「Mスポーツ」と同じ8段の「スポーツAT」だし、運転を楽しませてくれる資質はちゃんと前面に押し出されている。ややグリップが太すぎるように感じないこともないステアリング・ホイールを握り、ホールド性のいいシートにからだをあずけ、太いトルクの恩恵でスタートから力強いダッシュ力を感じるのは、大いなる魅力だ。そのまま回転を上げていくと中間加速も胸のすくような気持ちよさ。エンジン・ルームからかすかに聞こえてくる金属音と、背後からの排気音も、6気筒を選んだことへの見返りと考えると嬉しい。

今日びは直列6気筒は敬遠される傾向にある。前後長があるため、前輪駆動には使いにくいし、パッケージ的にもなるべく多くの車種に採用して投下した開発資金の回収を急ぐなどというときは効率化が難しくなる。そこにあってBMWはあえて伝統的なストレートシックスにこだわる姿勢を見せる。排気量こそモジュラー・ユニットにして3ℓに抑えたものの、ターボチャージャーを効果的に使って、ライバルに伍して十分競争力のある仕様に仕立て上げるのに成功しているのだ。

安全装備の面では、歩行者検知機能つき衝突回避・被害軽減ブレーキ、車線逸脱を警告するレーン・デパーチャー・ウォーニング、ストップ&ゴー機能つきアクティブ・クルーズ・コントロールを装備している。今回は加えて、左右の死角をや追い越し車線から急接近してくる車両の存在を伝えるレーン・チェンジ・ウォーニングが追加された。

スタイリングといい、乗り味といい、特別なものが欲しいひとにとって、440iのラインナップは輝くような魅力を発揮している。そんな個性を持つのは、BMWのようにエクスクルーシブなマーケットを対象とするメーカーにもっとも必要なことである。かつて3シリーズのクーペを買うひとは、ほとんどのボディ・パネルが専用設計であることを評価した。そんなこだわりが息づいている特別な1台は、手に入れる価値がある。

Post from RICOH THETA. – Spherical Image – RICOH THETA