レーシングタイヤは手作り 原料は天然ゴム 製造工程を追う

2018.10.06

サマリー

シリカを大量に使用するロードタイヤと違い、レーシングタイヤの原料が天然ゴムであることをご存知だったでしょうか? ダンロップのドイツ・ハーナウにある生産施設でその製造工程を見学してきました。東南アジアからやってきた天然ゴムがサーキットを駆け抜けるまでのお話です。

もくじ

始まりは熱帯雨林 レーシングタイヤは特別
すべてハンドメイド 熟練の技
レーシングタイヤの製造方法 品質管理が重要
番外編1:レーシングタイヤの原料
番外編2:サーキットのとある1日

始まりは熱帯雨林 レーシングタイヤは特別

タイの植林とブランズハッチを囲むものとの共通点はなんだろう? ペリカンの1種であるアカオネッタイ鳥だろうか? この鳥が大量にサーキットのまわりを飛び回っている姿など目にすることはない。 では、グランドスタンド? 木が生えそろうのを気長に待ってなどいられないだろう。 ハンバーガーを売るバン? どれも正解ではない。その答えはゴムだ。大量の天然ゴムがこのふたつを結び付けている。

タイの熱帯雨林に育つ木の幹からしみ出してくる天然ゴムの樹液が、ブランズハッチではクラッシュバリアとして使用される摩耗の激しいレーシングタイヤの原料になっている。しかし、タイとブランズハッチは、あるものの出発点であり終着点でもある。それこそがレーシングタイヤの生産プロセスだ。

サーキット用のタイヤ生産には、ロードタイヤとは違うプロセスが必要となる。BTCCに参戦する32チームに供給されている18インチ・タイヤの製造方法を見てみよう。その原料は、完全に人の手によって育てられ、採集され、加工されており、そのプロセスはロードタイヤとはほとんど対極に位置している。ロードタイヤには、大量の人造シリカが使用され、その製造方法もはるかに自動化されたものだ。

「レーシングタイヤには天然ゴムが使用されていますが、これはその高い伸縮性によって引き裂き強度に優れているからです」とダンロップのレースタイヤエンジニア、ステファン・ナセロはいう。「シリカはロードタイヤでは利点となりますが、レーシングタイヤのユーザーは、限界を超えても攻め続ける傾向があるので、もっとも強い材料が必要となるのです」

ナセロは最近125周年を迎えたドイツ・ハーナウのダンロップ工場内にあるレーシングタイヤの生産拠点で働いている。最近では、このハイパフォーマンスタイヤ製造のスペシャリストたちは、ポルシェ911 GT3 RSといった最速のスーパーカー向けや、2003年以来タイヤ供給を行っているBTCC向けを含めたダンロップの競技用タイヤの生産に忙殺されている。

 

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