レーシングタイヤは手作り 原料は天然ゴム 製造工程を追う

公開 : 2018.10.06 07:10  更新 : 2021.03.05 21:30

レーシングタイヤの製造方法 品質管理が重要

それぞれが、タイ、マレーシアとインドネシアの契約農家から届けられた天然ゴムのシートを使って、ちょうど15分でレーシングタイヤの内部カーカスをひとつ作り出していく。このゴム製カーカスは一旦タイヤがホイールに装着されてしまえば目にすることはできないが、スラクストンのような荒れた路面のコースを平均速度185km/hで20分間走行しても、その激しい負荷に耐えることができるのはこの内部カーカスのお陰であり、まさにタイヤのパフォーマンスを大きく左右する存在だ。

さらに、各ラバーシート層の密着度を高めることで全体の強度を向上させるため、オペレータによって内部ベルトが取付けられる。興味深いことに、ル・マン用タイヤでは24時間レース向けに耐久性を高めるため、この内部ベルトにケブラー素材が用いられる一方、BTCC用では、はるかに周回数が少ないという理由から、ロードタイヤと同じくスチール製ベルトが採用されている。

これによりBTCCで培った技術をよりロードタイヤに活かすことが出来るようになると、ダンロップ・モータースポーツセンターでマネージャーを務めるマリオ・コーンは話す。「レーシングタイヤのサイドウォールの厚みは、ロードタイヤよりも薄い約1mmですが、これはレーシングタイヤの走行距離がはるかに少ないからです」

最後にタイヤに取り付けられるのは「トレッド」コンパウンドだが、仕様ごとにさまざまな組み合わせがある(BTCCでは各チームがレースごとにスポーツ・マックスタイヤの2種類のコンパウンドを使用している)。実際にサーキットの路面と接触するのがこのトレッドであり、その重要性は言うまでもないだろう。

その後、タイヤは特別設計のオーブンで180℃まで温度を上げ熱硬化処理させるが、同時に型に入れられ112トンの圧力で最終形状へとプレス加工される。22分間の熱硬化処理が終われば、レーシングタイヤの出来上がりだ。BluResponseと名付けられたウェットタイヤの場合、このあと熟練の技をもつオペレータによってタイヤ表面に溝が刻み込まれる。

「ハーナウで生産したレーシングタイヤは1本1本すべて検査を行います」とコーンは話す。「BTCC用や、その他のモータースポーツ用タイヤの品質管理はなによりも重要なのです」

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