ロードテスト BMW 2シリーズ・グランクーペ  ★★★★★★☆☆☆☆

公開 : 2020.04.18 11:50

前輪駆動ベースで開発された2シリーズのグランクーペは、デザインコンシャスなプレミアムコンパクトとして販売面の成功を予感させます。しかし、218iの走りはBMWに期待される水準に達していませんでした。

はじめに

新型2シリーズのグランクーペがBMWのラインナップに加わったのは必然、という空気がある。また奇妙なことに、このクルマは、すでに存在するはるかに大きなモデルの面影が見て取れるものとなっているのだが、こうなることを確信はできなかった。

2008年の初代X6登場は、BMWの歴史において見逃せない出来事だ。奇妙なスタイリングのビースト、とでも呼んで受け入れるのは、だいぶ好意的な反応といえる。BMWがSUVを造るという考え自体にまだ納得できずにいた伝統主義者にしてみれば、この第3のXモデルは理解し難いものだった。

当時は挑発的な存在だったかもしれないが、実際に乗ってみると走りはよく、販売面でも大ヒットを飛ばした。

事実、この成功によってBMWは、新しく極端なニッチを市場に築く点で慧眼の持ち主だという評価を獲得した。そのニッチとは単純明快、劇的にスロープしたクーペ風のルーフラインによっておおむね特徴づけられる。

たしかに、メルセデスは2004年の初代CLSで、4ドアクーペというコンセプトを一般的なものにした。しかし、もっと突飛なSUVクーペが好評だったことで、BMWはこのデザイン手法を、SUVに限らずすべてのモデルレンジへ適用しようという自信を固めたようだ。もっとも、それが粋なスタイルだと呼べるかは定かではないが。

その結果、X4やX2のようなものも現れたが、すばらしくハンサムな6シリーズや4シリーズ・グランクーペにも出会えた。そうして、今回の2シリーズ・グランクーペも登場した。意地の悪いひとびとは、パーティドレスをまとった1シリーズ、といったレッテルを貼るだろうクルマだ。

この新たなコンパクト4ドアクーペがファッション重視のユーザーにウケるかどうかはともかく、どのようなユーザーに向いたクルマなのかはまだわからない。この新たなメルセデス・ベンツCLAのライバルは、独立したモデルとして成立するに必要な要素を備えているのか、確かめてみたい。

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