ポルシェ・タイカン 詳細データテスト 952psへ強化 進化したバッテリー 快適なアクティブサス

公開 : 2024.11.09 20:25

発売から5年で大幅改良を受けたタイカン。バッテリーやシャシー制御などに最新技術を加え、より速く、より快適なクルマへと進化しました。その加速性能はもはやハイパーカーの領域。大型4ドアEVカテゴリーには敵なしです。

はじめに

時の経つのは早いもので、ポルシェがEVでもいかにみごとな走りを可能にするか世に示したのは、まるでつい最近のことのように思える。ところが、それを成したタイカンが2024年に改良のタイミングとなり、コードネームはJ1からJ1 IIへと移行した。

呼称の変化はずいぶんと単調で、おそらく新車で買える中でもっとも関心を集める電動車へのアップデートがもたらしたかなり大きな変化と、それに費やされた莫大なコストには見合わない。ほんの5年で、EVに関する技術は大きく進歩。バッテリーは容量拡大のみならず、軽量化も実現した。充電も早い。6291ポンド(約124万円)払う余裕があれば、アクティブサスペンションも追加できる。

テスト車:ポルシェ・タイカン・ターボS
テスト車:ポルシェ・タイカン・ターボS

また、この5年間でタイカンはラインナップを大きく拡げた。ポルシェのEVはニッチなサブブランドではなく、後輪駆動の純粋主義的モデルから、クロスオーバー仕立てのワゴンタイプまで揃え、そのうえGTディヴィジョンが手掛けるヴァイザッハ・パッケージまで選べる。911GT3や、ケイマンGT4でもあるまいに。結果、英国での販売車種は14にのぼる。価格は、最廉価版が7万5555ポンド(約1488万円)から8万6500ポンド(約1704万円)に値上がりし、上は20万ポンド(約3940万円)近い。

今回テストするターボSは、そのモデルレンジの中でもかなり上位で、多くのユーザーが求めるもの以上のタイカンだ。しかし、標準仕様でも新技術を多く内包し、さらにオプションにも新機軸を揃えるので、今回の進化ぶりを知るにはもってこいといえる。また、スペック表どおりであれば、われわれがこれまでテストしたなかでもっとも加速のいいクルマということになる。

誕生時よりも多くのライバルに取り囲まれている現在のタイカンは、それらを退けるに値する実力を、最新の改良で得ているのだろうか。

記事に関わった人々

  • 執筆

    リチャード・レーン

    Richard Lane

    役職:ロードテスト副編集長
    2017年よりAUTOCARでロードテストを担当。試乗するクルマは、少数生産のスポーツカーから大手メーカーの最新グローバル戦略車まで多岐にわたる。車両にテレメトリー機器を取り付け、各種性能値の測定も行う。フェラーリ296 GTBを運転してAUTOCARロードテストのラップタイムで最速記録を樹立したことが自慢。仕事以外では、8バルブのランチア・デルタ・インテグラーレ、初代フォード・フォーカスRS、初代ホンダ・インサイトなど、さまざまなクルマを所有してきた。これまで運転した中で最高のクルマは、ポルシェ911 R。扱いやすさと威圧感のなさに感服。
  • 執筆

    マット・ソーンダース

    Matt Saunders

    役職:ロードテスト編集者
    AUTOCARの主任レビュアー。クルマを厳密かつ客観的に計測し、評価し、その詳細データを収集するテストチームの責任者でもある。クルマを完全に理解してこそ、批判する権利を得られると考えている。これまで運転した中で最高のクルマは、アリエル・アトム4。聞かれるたびに答えは変わるが、今のところは一番楽しかった。
  • 翻訳

    関耕一郎

    Kouichiro Seki

    1975年生まれ。20世紀末から自動車誌編集に携わり「AUTOCAR JAPAN」にも参加。その後はスポーツ/サブカルチャー/グルメ/美容など節操なく執筆や編集を経験するも結局は自動車ライターに落ち着く。目下の悩みは、折り込みチラシやファミレスのメニューにも無意識で誤植を探してしまう職業病。至福の空間は、いいクルマの運転席と台所と釣り場。

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