【クルマにお金をかける人が増加?】コロナでどう変わった? 自動車販売の今

公開 : 2020.07.17 18:30

英国で自動車販売店の営業再開が許可されてから1か月強が経過しました。結論を出すにはまだ早いのですが、すでに市場の変化が表れ始めています。英国でのデータをもとに、自動車業界の最も重要な傾向を調査します。

いま、クルマは売れているのか?

text:Jim Holder(ジム・ホルダー)

AUTOCARの本拠地がある英国の中古車・新古車市場は、新車市場よりもはるかに荒れた状態にある。

それを後押ししているのが、社会的距離感(ソーシャル・ディスタンス)を保ちながら再開された工場の操業により新車在庫が増加し、すぐに入手可能な状態になっていることだ。

自動車産業はコロナ禍を機に、大きく変化しようとしている。
自動車産業はコロナ禍を機に、大きく変化しようとしている。

しかし、大手小売グループの多くが前年同月比で売上の増加を報告しており、すでに自動車業界の運勢をどん底から転換させつつあると言ってもいいだろう。

ただ、新車登録台数の増加ペースや、このような累積需要がいつまで続くのかという懸念がある。

現在、毎週6000人以上の購入希望者を調査しているAUTOCARの兄弟サイト「What Car?」のデータによると、面白いことがわかってきた。

新車の値引き率は増えている?

ロックダウン後の新車値引きはどうなっているのか、今のところ一貫した見通しが立っていない。

主な理由は、前述の累積需要が継続しているためだ。

What Car? でミステリーショッパー(覆面調査員)が調査したところによると、ロックダウン終了後に値引き率を増やしたメーカーは、一部を除いてほとんどなかったようだ。

トップ12は、降順に、ボルボフォルクスワーゲン、メルセデス、スコダマツダジャガールノーヴォグゾール、ヒュンダイ、プジョーシトロエン三菱で、増加率は二桁から1%未満まで幅が大きい。

これとは対照的に、他のメーカーは堅実な姿勢を維持しており、主に株式による利益を最大化しようとしている。

中古車価格は上がっている?

中古車市場では、オークションや下取り、リースの返却サイクルなど、需要に対し供給が少ない状態だ。

中古車ディーラーにとっては、減価償却していたであろう在庫を捌くことに繋がり、ある程度の安心材料となっている。

メーカーやモデルによって、価格の変動も大きい。
メーカーやモデルによって、価格の変動も大きい。

公共交通機関を避けたいという消費者のニーズに後押しされて、最も需要が高まっているのは、古くて安い価格帯のクルマである。

データによると、3月から現在までに20%以上の値上がりを見せているモデルもある。

価格はクルマの人気に左右されるが、今のところ価値は堅調に推移しているようだ。

クルマにお金をかける人が増える?

はっきりしているのは、消費者の意図が変化しているということだが、その影響が新車販売に表れているかどうかを判断するには時期尚早だ。

英国のフォルクスワーゲン・グループの責任者であるアレックス・スミスは、市場に精通している人物だが、今後のトレンドを予測することには慎重な姿勢を見せている。

クルマへの関心が高まり、予算も増えているようだ。
クルマへの関心が高まり、予算も増えているようだ。

消費者の嗜好の変化について質問されたとき、「日に日に変化する」と彼は答えている。

What Car? による消費者への世論調査では、ピーク時には49%の回答者が、これまで検討していたよりも環境に優しい車を購入するつもりだと答えた。

そして、26%がハイブリッド車など電動パワートレイン搭載車を検討する傾向があり、9%は電気自動車を検討したいと答えている。

また、約5分の1の回答者がロックダウン以前よりもクルマに多くのお金をかけると答えた。

個人の経済状況にもよるだろうが、これからは街を走る高級車が増えていくかもしれない。

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