【クルマにお金をかける人が増加?】コロナでどう変わった? 自動車販売の今

公開 : 2020.07.17 18:30

政府の支援策による影響は?

英国では以前、古いクルマを廃車にして新車を購入する際、補助金を得られる「スクラップ・インセンティブ」という制度があった(現在は終了)。

リーマンショックにより新車市場が大幅に低迷した2009年に導入されると、販売店には買い替えを望む人々の行列ができたという。

フランスでは自動車産業支援策に伴い、EV購入補助金も拡充された。
フランスでは自動車産業支援策に伴い、EV購入補助金も拡充された。

対象となる新車は一定以上の環境性能をクリアしている必要があったこともあり、今でも賛否両論はある。

しかし、結果として英国の自動車産業を窮地から救ったといっても過言ではないだろう。

今回のロックダウンに対し、英国ではスクラップ・インセンティブと同様の施策が政府により打ち出されるという期待感もあった。

だが、英国の政府当局がAUTOCARへ語ったところによると、「既存の制度を変更したり、スクラップ・インセンティブを導入する計画はない」という。

とはいえ、この公式声明により、クルマの販売がかえって加速する可能性もある。

What Car? の調査によると、消費者の29%が何らかのインセンティブを期待して、購入を保留していたというのだ。

期待された制度が導入されないとなると、購入を後回しにする理由が減る。

もちろん、インセンティブ導入の可能性はまだ残されているし、VAT(付加価値税)減税に自動車を含めるなど、別の提案もできる。

しかし、航空やホスピタリティなど深刻な問題を抱える業界は多く、その中で自動車業界は回復の兆しが見え始めていることから、政府もしばらくは経過観察を続けるだろう。

フランスでは80億ユーロ(約9700億円)規模の支援策により、自動車販売を通常時のレベルまで引き戻すことに成功している。

この支援策では、EVを購入した個人には7000ユーロ(85万円)、法人には5000ユーロ(60万円)をインセンティブとして支給する。

英国がこのフランスの例を参考にすることもあり得るだろう。

次に何が起こるのか?

英国では、コロナウイルスの影響はこれからさらに拡大するとも言われているが、真実は誰にも分らない。

業界の動揺は続いている。

回復の傾向があるといっても、この先に何が待ち受けているかは誰にもわからない。
回復の傾向があるといっても、この先に何が待ち受けているかは誰にもわからない。

大方の予想では、どこかの時点で一時解雇が解禁され、大量の人員削減が必要となり、クラッシュが現実のものとなると考えられている。

楽観論者は、雇用されている人は十分に隔離された状態が続いているという事実を指摘する一方で、悲観論者は、予測される雇用喪失の規模が大きすぎて、経済を停滞させるだろうと言う。

今のところ、メーカーの予測に基づく自動車工業会のデータでは、前年比25%の下落が予想されている。

ブレグジットをめぐる混乱を前にして、破滅的な数字ではないにせよ、悲惨な数字であることに間違いはない。

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