【タフト、試乗してみた】ダイハツ・タフト 価格に対する走りの実力 内装の出来ばえを評価

公開 : 2020.08.03 05:50  更新 : 2021.10.13 15:49

ダイハツ・タフトに試乗しました。スペックを冷静にみつめると、真剣にコストと向き合った事実が浮かび上がってきます。それが走りにどう影響しているのか? また装備の充実度は? 川島茂夫が検証しました。

ファミリー用途前提、とは言い難いが

text:Shigeo Kawashima(川島茂夫)
photo:Sho Tamura(田村 翔)

ダイハツから登場したタフトは流行りのクロスオーバーSUVでもあり、嗜好的要素の濃い実用車でもある。

現行タントから採用されたDNGAプラットフォームで開発され、極短オーバーハングなどの高スペース効率もそのまま継承。

ダイハツ・タフト
ダイハツ・タフト    田村 翔

一見するとロングノーズのようだが、フロントドア開口位置はタントほぼ同じであり、タントからクォーターウインドウを取り払いフロントウインドウ位置を後退させたと思えばいい。

また、全高設定はムーヴと同じ。最低地上高が増加しているが室内高は10mm低下したに過ぎず、スペース効率は実用志向のハイト系ミニと同等なのだ。

ただし、ファミリー用途前提の設計とは言い難い。

タントやムーヴに採用された後席スライド&リクライニングや格納時のダイブダウン機構はは採用されず、単純な分割可倒式となっている。

最大積載と積載の多様性からすれば退歩だが、タフトは2名+荷室という使い方を重視。後席周りのトリム設計を荷室の延長とするなどそのコンセプトがインテリアにも表れている。

それをして後席機能を簡素化した理由にはならないのだが、大柄な男性の4名乗車にも十分な居住性を備えているので目くじらを立てる必要はないだろう。

コストダウンの影 CVT影響少ない

後席機能の簡略化も1つだが、タントではNA車にも採用されるワイドレンジ型のD-CVTがタフトはターボ車に限定。

そんな厳しいコスト管理があればこそ大開口ガラスサンルーフのスカイフィールトップの全車標準装着が可能になったのだろう。

ダイハツ・タフト
ダイハツ・タフト    田村 翔

開閉機構はないが、前席頭上の大半を締めた開口部の開放感は圧倒的だ。

ドアミラー確認等で視線を移した時に視野に空まで入るのはとても新鮮な感覚であり、グラスキャノピーを思わせる乗車感覚を味わえる。

自然の中を走る醍醐味をより深くが本論だろうが、見慣れた街並みも違って見える。

コストダウンの影が気になるNA車の走りだが、CVTの影響は意外と少ない。D-CVTに比べて高ギア比側の上限が約25%低く、80km/h時の最低エンジン回転数はターボ車よりも500rpm高くなる。

エンジン回転数は余力感に影響するが、実際に余力がなく結果的にパワースペックに最適なところに収まる。

高速域での加速や登り勾配に対するダウンシフトは頻繁であり、常用回転域も高め。それでも無闇に高回転を維持しないのは素直なトルク特性と巧みな変速制御の賜。

NAの軽乗用では水準を多少上回る余力感を示した。

記事に関わった人々

  • 川島茂夫

    Shigeo Kawashima

    1956年生まれ。子どものころから航空機を筆頭とした乗り物や機械好き。プラモデルからエンジン模型飛行機へと進み、その延長でスロットレーシングを軸にした交友関係から自動車専門誌業界へ。寄稿していた編集部の勧めもあって大学卒業と同時に自動車評論家として自立。「機械の中に刻み込まれたメッセージの解読こそ自動車評論の醍醐味だ!」と思っている。
  • 田村翔

    Sho Tamura

    1990年生まれ。東京工芸大学芸術学部写真学科卒業後、2013〜2020年までアフロスポーツのメンバーとして活動。2020年よりフリーに転向。光と影を生かしながらレーシングカーやアスリートの「美」と、報道的かつ芸術性を追求した表現を目指し、モータースポーツと国内外のスポーツ競技を撮影する。日本レース写真家協会(JRPA)会員/日本スポーツ写真協会(JSPA)会員。

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