【異変】新車の国内販売 トップ3にスズキ/ダイハツ 理由はトヨタの「すき間」

公開 : 2021.05.13 18:05  更新 : 2021.10.22 10:07

メーカー別の国内新車販売台数ランキングのトップ3からホンダが外れ、スズキ/ダイハツがランクイン。

軽自動車販売比率が40%の大台に

text:Yoichiro Watanabe(渡辺陽一郎)
editor:Taro Ueno(上野太朗)

2021年4月(単月)の国内新車販売状況を見て驚いた。軽自動車の販売比率が40%に達したからだ。

最近の新車販売では、軽自動車の比率が37%前後と高めに推移してきたが、2021年4月には遂に40%の大台に乗った。

メーカー別の国内新車販売台数ランキングの2位:スズキ、3位:ダイハツは新動向。
メーカー別の国内新車販売台数ランキングの2位:スズキ、3位:ダイハツは新動向。    池之平昌信

これに伴ってメーカー別の国内新車販売台数ランキングにも変動が生じている。

1位:トヨタ、2位:スズキ、3位:ダイハツ、4位:ホンダ、5位:日産と続く。

1位のトヨタは昔から変わらないが、2位のスズキ、3位のダイハツは新しい動向だ。

両社とも軽自動車を中心に扱うメーカーだから、軽自動車販売比率の40%達成とも合致する。

ちなみに2019年(暦年)は、2位がホンダ、3位はスズキ、4位はダイハツという順番だった。

それが2020年になると、スズキが2位に浮上してホンダは3位に下がり、2021年にはダイハツにも抜かれて4位となった。

もともと近年の国内販売では軽自動車が勢力を強めており、2020年の終盤から2021年に掛けてはこの傾向が一層強まった。

2020年4月のメーカー別販売台数を見ると、トヨタは11万9524台に達するが、2位のスズキは5万3645台だから半数以下だ。

1位と2位の差はきわめて大きい。

そして3位のダイハツは4万8290台、4位のホンダは4万7820台だ。2位から4位は僅差になる。5位の日産は2万8341台だから再び差が開いた。

ホンダが伸び悩んで4位まで下がった理由は何か?

ホンダ、売れ筋のモデルが限られた

ホンダ車の売れ行きを車種別に見ると、主力のフィットは2020年4月の登録台数が前年の37%に留まった。

販売店に尋ねると以下のように返答された。

「最近は半導体の不足で、フィットなどの納期が延びて登録が滞っています。ディーラーオプションのETCユニットなどが遅れることもあります」

「また4月には新型のヴェゼルが発売されて受注は好調ですが、納車はまだ本格化していません」

これらの事情が重なって、ホンダはスズキやダイハツに抜かれた。

またホンダでは従来以上に軽自動車比率が高まった。2021年4月には、国内で新車として売られたホンダ車の57%を軽自動車が占めている。

フルモデルチェンジしたNワンの届け出台数は2488台と少ないが、それでも以前に比べれば多く、ホンダの軽自動車比率を60%近くまで押し上げた。

軽自動車の販売台数に、フィットとフリードの登録台数を加えると、国内で2021年4月に販売されたホンダ車の75%に達する。納車が開始されたヴェゼルまで加えると83%だ。

つまり今のホンダの国内販売は、少数の軽自動車とコンパクトな車種が支えている。そのためにオデッセイCR-Vシビック、インサイト、アコードなどの存在感と売れ行きは低調だ。

これらの低迷がホンダ全体の売れ行きに影響を与えた。

記事に関わった人々

  • 渡辺陽一郎

    Yoichiro Watanabe

    1961年生まれ。自動車月刊誌の編集長を約10年間務めた後、フリーランスのカーライフ・ジャーナリストに転向した。「読者の皆様にケガをさせない、損をさせないこと」を重視して、ユーザーの立場から、問題提起のある執筆を心掛けている。買い得グレードを見極める執筆も多く、吉野屋などに入った時も、どのセットメニューが割安か、無意識に計算してしまう。

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