【ホンダNワン】市場の声受けMT設定 3ペダルMT車にも未来があるといえるワケ

公開 : 2021.05.30 05:45  更新 : 2021.10.13 12:13

ホンダは市場の声を受け、NワンにMT車を設定しました。電動化の中でもMT車の未来は暗いものではないといえます。

MT車の新車販売比率はわずか1%程度

text:Kouichi Kobuna(小鮒康一)
editor:Taro Ueno(上野太朗)

世界的な電動化の波によって今後、より苦しい立場になることが予想されている純然たる内燃機関を搭載したクルマたち。

そして、内燃機関を搭載したモデルが減少するということは、すなわち3ペダルのマニュアル車が減少していくことも無関係とはいえないハズだ。

ホンダNワン
ホンダNワン

もはや3ペダルのMTよりも、2ペダルの方がイージードライビングが実現できるだけではなく、燃費の面でもサーキットのラップタイムの面でも有利となっているという事実を知っている人も多いことだろう。

そもそも現段階での日本におけるMT車の新車販売比率は全体の1%ちょっととなっており、1990年にはおよそ3割、2000年にはおよそ1割だったMT車比率は加速度的に縮小しているというのが事実となっているのである。

しかし、現在でもフィルム式のカメラやレコードが一定のマーケットを形成しているように、3ペダルMTも不便であることは承知のうえでそれでもなお、自らでクラッチペダルを踏みこんでギアチェンジをしたいという層が消滅してしまうことはないと断言できる。

そこで今回は昨年2020年11月に実施されたNワンのフルモデルチェンジのタイミングで、あえて3ペダルMTモデルを新規追加設定したホンダに、その理由と3ペダルMT車の今後について話を聞いてみることにした。

市場はまだまだMTを求めている

「初代からMTを求める声は多かったんです」

そう話すのは、本田技研工業日本本部商品ブランド部商品企画課の矢野達也さんだ。

ホンダNワン(RSにMTを用意する)
ホンダNワン(RSにMTを用意する)

もともとプレミアム感の強いモデルとして登場したNワンは、実用性の高いNボックスやベーシックなモデルであるNワゴンに比べるとクルマにこだわりのあるユーザーが多い車種となっている。

ただ、初代Nワンではそもそものプラットフォームの関係もあってMTモデルを設定するのは非常に難しかったという。

しかし、2代目へフルモデルチェンジを果たしたNワンは、一新されたプラットフォームを採用。

見た目こそ初代とほとんど変わらないものとなっているが、中身は大きく進化したというワケだ。

その結果、従来型のときから求める声が多かったMTモデルを追加することができ、発売初期の受注では、なんと20%のユーザーがMTモデルを選んだという。

「決して台数が見込めるワケではありませんが、クルマの魅力付けという点や、クルマの楽しみ、FUNという部分を拡大するためにはMTは必要なものだと考えますし、電動車との組み合わせも不可能ではありません」とは矢野さんの談。

やはりユーザーの声というものは今も昔も重要な要素の1つということなのだろう。

ちなみにユーザーの声というものは、グループインタビューやウェブでのアンケート調査といったものから、販売会社経由での意見の吸い上げや、SNSでの投稿やネット記事へのコメントまで、われわれが想像している以上に多岐にわたって収集しているそうだ。

記事に関わった人々

  • 小鮒康一

    Koichi Kobuna

    1979年生まれ。幼少のころに再放送されていた「西部警察」によってクルマに目覚めるも、学生時代はクルマと無縁の生活を送る。免許取得後にその想いが再燃し、気づけば旧車からEV、軽自動車まで幅広い車種を所有することに。どちらかというとヘンテコなクルマを愛し、最近では格安車を拾ってきてはそれなりに仕上げることに歓びを見出した、尿酸値高い系男子。

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