アウディeトロンGTクワトロ試乗 ポルシェ・タイカンと比較して浮き上がるブランドの個性

公開 : 2022.01.03 06:45

アウディeトロンGTクワトロに試乗。タイカンとは異なる遠すぎない未来感にアウディの個性を感じます。

eトロンGT 公道でこそ光る

12月初頭の試乗記事で、アウディeトロンGTクワトロについて触れている。

富士でおこなわれたアウディの試乗会でRS系の速いモデルと一緒にステアリングを握ることができたのである。

アウディeトロンGTクワトロ
アウディeトロンGTクワトロ    神村聖

加速はカタパルト発進する戦闘機のごとし。ハンドリングも床下バッテリーのおかげで重心が低いBEVならではの盤石ぶり。

だがコーナリングでペースを上げると、頑固なアンダーステアが顔を出し、走行ラインを選べなくなってしまった。

重心が低いからこそロールも少なく、その結果として荷重がキレイにタイヤに掛かり、わりと早めに一杯いっぱいになってしまったのだろう。

だがサーキットにおける限界ハンドリング特性1つを切り取って、世界的に売れまくっているというこのクルマを評価することなどできるわけがない。

R8ならわかるが、eトロンGTのオーナーがサーキットに通い詰める可能性は極端に低いはずだ。

あらためて街中で再会したeトロンGTは、これまでで最もスタイリッシュなアウディだと確信するくらいカッコ良かった。

フェンダー周りのプレスラインが力強く浮き出た筋肉質な感じはRS6やRS7スポーツバックに通じる。

すっきりとした放物線を描くルーフラインもクーペ感の演出に効いている。

室内は物理的なスイッチがずらりと並んでおり、外装ほどの未来感はない。

馴染みやすさを優先したのだろうか。

とはいえRS系のアウディのようなダイナミズムはちゃんと込められている。走り出してみよう。

「あれはアウディ、こっちはポルシェ

今回は「偶然」編集担当が乗ってきたポルシェ・タイカンがあったので、骨格を共有する2台を比べることができた。

タイカンは最上級のターボSなので、エアサスや後輪操舵など装備満載。最高出力も761ps対530psと大きく違うし、eトロンGTはコイルサスなのだが、返って素性がよくわかるかもしれない。

アウディeトロンGTクワトロ
アウディeトロンGTクワトロ    神村聖

少々混みあった都心でeトロンGTを走らせた。

首都高の合流で本気の加速を味わった直後、渋滞にハマる。誰もが普通に体験するであろう環境といえる。

走行中の車内は静止しているように静か。

「これエアサスだよ」といわれたら信じてしまうほど路面とのタッチが柔らかく、身のこなしが洗練されている。

だがそんなことはBEVなら当たり前、想定内の感触だろう。eトロンGTの個性は何なのか?

それがタイカン・ターボSに乗り換えたとたんハッキリした。

あぁ、あれはアウディで、こっちはポルシェなのだ、と。

タイカンのエアサスはまるで生き物のように硬軟が変化し、握りが細く断面が丸いステアリングの感触も軽い。

直角ターンが連続する街中や車庫入れなどで器用にテールをくねらせる後輪操舵と相まって、ライトウェイトスポーツカーのような身のこなしを見せる。

一方、太いステアリングの円周が随所で角ばったeトロンGTは、パワステが重いこともあるが、太めのタイヤがガシッと路面を捉えている感じに往年のクワトロらしさが漂っている。

両者は面白いくらいに違うのだ。

記事に関わった人々

  • 執筆

    吉田拓生

    Takuo Yoshida

    1972年生まれ。編集部員を経てモータリングライターとして独立。新旧あらゆるクルマの評価が得意。MGBとMGミジェット(レーシング)が趣味車。BMW 318iコンパクト(E46)/メルセデスBクラスがアシグルマ。森に棲み、畑を耕し蜜蜂の世話をし、薪を割るカントリーライフの実践者でもあるため、農道のポルシェ(スバル・サンバー・トラック)を溺愛。
  • 撮影

    神村聖

    Satoshi Kamimura

    1967年生まれ。大阪写真専門学校卒業後、都内のスタジオや個人写真事務所のアシスタントを経て、1994年に独立してフリーランスに。以後、自動車専門誌を中心に活躍中。走るのが大好きで、愛車はトヨタMR2(SW20)/スバル・レヴォーグ2.0GT。趣味はスノーボードと全国のお城を巡る旅をしている。
  • 編集

    AUTOCAR JAPAN

    Autocar Japan

    世界最古の自動車雑誌「Autocar」(1895年創刊)の日本版。

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