新型ゴードン・マレーT33 創業者に聞く「実用重視」のワケ V12スーパーカー第2弾初公開

公開 : 2022.01.28 19:45

ゴードン・マレー・オートモーティブが新型T33を公開。V12を搭載した100台限定のスーパーカーです。

鬼才が放つV12スーパーカー第2弾

ゴードン・マレー・オートモーティブは、新型スーパーカー「T33」を発表した。2020年8月に公開された3人乗りの「T50」に続くスーパーカー第2弾で、価格は140万ポンド(約2億1600万円)からとなっている。

まったく新しいカーボン・アルミニウム製モノコックシャシーを採用したT33は、T50よりも全長がわずかに長く、2人乗り仕様となっている。コスワース製3.9L V12エンジンを特別にアレンジして搭載し、低速トルクは向上しているが、レブリミットはT50の1万2000rpmから1万1100rpmとやや低めになっている。

ゴードン・マレーT33
ゴードン・マレーT33    AUTOCAR

フラッグシップモデルのT50の下に位置する「より実用的」なモデルとのことで、新開発のパッシブ・アンダーボディ・エアロダイナミクスを採用し、速度に応じてダウンフォースを発生させる。

車重はT50より100kgほど増えた一方、価格も100万ポンド(約1億5000万円)ほど安くなった。

ゴードン・マレー・オートモーティブ(GMA)の創設者であるゴードン・マレーは、「もしスーパーカーを1台しか持てないとしたら、T33はその1台になるように設計されています」と語る。

25年前から構想していた「33」

T33のボディプロポーションはT50と大きく異なるが(T50はドライバーを中央に座らせるため、フロントガラスが25cmほど前に出ている)、慎重に作られたファミリールックを共有している。両車のスタイリングは、マレーと彼のデザインアシスタントであるケビン・リチャーズが担当し、少人数のCADモデラーチームとともに社内で制作した。

マレーは、1960年代のエキゾチックカー(特にアルファ・ロメオ33ストラダーレ、フェラーリ・ディーノ206SP、ランボルギーニ・ミウラ)への「愛」を反映し、優雅で整然としたフォルムを実現した。

ゴードン・マレーT33
ゴードン・マレーT33    AUTOCAR

自分の好きなものを真似るのではなく、時代を超えたディテールやフォルムを見極め、今後数十年に渡ってGMAモデルの美しさを維持するという長期的な目標を掲げているのだ。

「T33は、25年ほど前から頭の中にあったのですが、これまで作るための設備がなかったんです。わたしのデザインには、すべて“T”の名がついています。例えば、T25とT27は都市向けの小型車、T34はオックス・トラック、T37はTVR(グリフィス)のプロジェクトでした」

「時代を超越したスーパーカーをずっと計画しており、当初は3.3Lエンジンの搭載も考えていたので、33という数字を選んだんです。そして今、ついに実現しました」

GMAは、以前から発表している「100台以下」の原則のとおり、T33を100台だけ生産する予定だ。今年の夏にプロトタイプを走らせ、2024年から納車を開始する。

また、T33のスピンオフモデルが2台計画されている。マレーによると、それらはロードスターと、T50sニキ・ラウダの流れを汲む「サーキット専用モデル」になるようだ。

記事に関わった人々

  • 執筆

    スティーブ・クロプリー

    Steve Cropley

    役職:編集長
    50年にわたりクルマのテストと執筆に携わり、その半分以上の期間を、1895年創刊の世界最古の自動車専門誌AUTOCARの編集長として過ごしてきた。豪州でジャーナリストとしてのキャリアをスタートさせ、英国に移住してからもさまざまな媒体で活動。自身で創刊した自動車雑誌が出版社の目にとまり、AUTOCARと合流することに。コベントリー大学の客員教授や英国自動車博物館の理事も務める。クルマと自動車業界を愛してやまない。
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    1992年生まれ。幼少期から乗り物好き。不動産営業や記事制作代行といった職を経て、フリーランスとして記事を書くことに。2台のバイクとちょっとした模型、おもちゃ、ぬいぐるみに囲まれて生活している。出掛けるときに本は手放せず、毎日ゲームをしないと寝付きが悪い。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。仕事では「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。

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