跳ね馬の輝きは霞まない フェラーリ296 GTBへ試乗 830psのミドシップPHEV 前編

公開 : 2022.03.10 08:25  更新 : 2022.03.10 21:42

V6エンジンに電気モーターが組まれた、最新のHVフェラーリ。マラネロの魅力は一切霞まないと、英国編集部は絶賛します。

些細なことなど吹き飛んでしまう完成度

「どんな違いがありますか?」。ラファエル・デ・シモーネ氏に訪ねる。彼の肩書は、「フェラーリGT開発テストドライバー」。すべての公道用フェラーリのドライビング体験へ影響力を持つ人物としては、かなり控え目な役職名だ。

この世界に、すべての人にとって完璧なクルマは存在し得ない。最新のフェラーリ296 GTBにも、もう少しこうだったら、と筆者が感じた部分はゼロではない。しかし、サーキットを数分間走らせれば、些細なことなど吹き飛んでしまった。

フェラーリ296 GTB(欧州仕様)
フェラーリ296 GTB(欧州仕様)

アップル・カープレイ利用時のレブカウンターの動作や、遅いノーズリフト機能の動きも忘れられる。端的にいえば、このクルマへ心の底から驚いた。極めてバランスに優れている。デ・シモーネの仕事が、素晴らしかったという証拠だ。

この296 GTBは、フェラーリ最新のミドシップ・スーパーカー。マラネロのエンジニアは、方向性を見誤ることはなかった。英国価格は24万1550ポンド(約3744万円)が付いている。

F430から次世代への進化を感じさせた458イタリア以来、着実に次期モデルを生み出してきた同社。マクラーレンから誕生するかもしれないライバルへ構えるうえでも、非常に高い完成度が求められていた。

果たして、その完成度には言葉を失う。フェラーリが作り上げてきた歴代のV8エンジン・スーパーカーを振り返ってみても、出色といえるだろう。

2996cc V6ツインターボに駆動用モーター

ただし、AUTOCARの読者ならご存知かとは思うが、296 GTBがミドシップするのはV型6気筒エンジンだ。駆動用モーターとバッテリーが組み合わされた、プラグイン・ハイブリッド(PHEV)となっている。

フェラーリがハイブリッドを手掛けるのは、これが初めてではない。ラ・フェラーリはハイカーズと呼ばれるハイブリッド・システムを搭載していたし、SF90ストラダーレはPHEVだった。

フェラーリ296 GTB(欧州仕様)
フェラーリ296 GTB(欧州仕様)

それらは、この最新フェラーリを完成させるための、技術的な準備だったのかもしれない。そう思わせるほどの出来栄えだ。

296 GTBというモデル名の数字は、エンジンの排気量と気筒数に由来する。排気量が2996cc「29」で、120度のバンク角の内側にツインターボが搭載された、V型6気筒「6」ユニットとなる。

エンジンは最高出力664psを発揮し、8速デュアルクラッチATとの間に、166psを発揮する駆動用モーターが挟まれている。電子制御のリミテッドスリップ・デフを介して後輪を駆動し、必要に応じてエンジンは駆動系から切り離せる。

システム総合での最高出力は830psに達し、0-100km/hの加速時間は2.9秒。0-200km/h加速も、7.3秒でこなしてしまう。

駆動用バッテリーの容量は7.45kW。2シーターのコクピットとエンジンルームとの間に集約されており、重量は73kgだという。駆動用モーターやインバーターなどの関連機器も含めると、ハイブリッド・システムの重量は約100kgになるだろう。

記事に関わった人々

  • マット・プライヤー

    Matt Prior

    英国編集部エディター・アト・ラージ
  • 中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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