911 GT3をタイムで凌駕 ポルシェ718ケイマン GT4 RS 僅差で勝者を選出 BBDC 2022(6)

公開 : 2023.01.03 13:45

今年1番運転の楽しいクルマは? BBDC 2022(1) 公道とサーキットで11台を乗り比べ

ドラマチックさとラップタイムで911を凌駕

ポルシェ718ケイマン GT4 RSは同じ銘柄のライバル、911 GT3をドラマチックさやサーキットでのラップタイムで凌駕した。0.2秒という、僅かな差ではあったが。

近年のBBDC選手権のノミネート車両は、高出力化と高価格化の傾向にある。それでも、718ケイマン GT4 RSほど強い印象を残すモデルは決して多くはない。

イエローのポルシェ718ケイマン GT4 RS、レッドのフェラーリ296 GTB、ブルーのポルシェ911 GT3
イエローのポルシェ718ケイマン GT4 RS、レッドのフェラーリ296 GTB、ブルーのポルシェ911 GT3

一般道でのコーナリングは素晴らしい。見事にバランスし、驚くほど自然で純粋。7速デュアルクラッチATは、パドル操作へダイレクトに反応する。パンチの効いたシフトチェンジや、鮮烈で生々しいフィーリングにも称賛する意見が相次いだ。

路面の凹凸を実感させる硬い足まわりが、運転の楽しさを減じているという声も挙がった。ノミネート車両の多くが、一般道と高い親和性を示したこととは対称的といえる。

それは、サーキットへ主軸が置かれていることの表れでもある。ポルシェのGTでRSを名乗るモデルは、そもそもそういうものだ。

ラップタイムを刻むように積極的にサーキットを攻め続けても、718ケイマン GT4 RSは極めてタフ。審査員たちはレブリミットまで回しきり、飽きることなくアングルシー・サーキットを巡っていた。

ただし、コーナリングラインの調整をより容易にし、旋回初期のアンダーステア傾向を弱めた方が良いと評価する意見もあった。クルマとの一体感も、理想とする高さではなかったかもしれない。

能力に秀で多面的で安心感すら与える

それでは、2021年のディフェンディング・チャンピオン、ポルシェ911 GT3はどうだったのか。718ケイマン GT4 RS程はハードコアな仕立てではなくても、やはり魅力的なことに変わりはなかった。

新手のハイブリッド・スーパーカーや、大富豪向けのレストモッド・フェラーリがノミネートしただけに、911 GT3への期待値は初めさほど高くなかった。最後まで勝ち残ると、筆者は予想していなかったのが正直なところだ。

ポルシェ911 GT3(992型/英国仕様)
ポルシェ911 GT3(992型/英国仕様)

これほど素晴らしいスポーツカーを、読み誤るなんて。能力に長け多面的で、ドライバーの感覚を研ぎ澄まさせ、しっかり心を掴む。公道を走らせれば、秀でたマナーで安心感すら与えてくれる。

一般道でもサーキットでも、存分に謳歌できるパワフルな水平対向6気筒エンジンを積んでいる。シフトパドルで操る7速デュアルクラッチATは迅速に反応し、ドライバーズカーとしての訴求力を高めている。MTではなくても。

サスペンションやステアリングもブリリアント。それぞれが完璧に調律され、お互いが調和し、統合されている。フラット6がもたらす以上の総合力を生み出している。

ところが、審査員5名全員が同じ印象ではなかったようだ。911 GT3と718ケイマン GT4 RSとで、感じ方の違いが興味深い。

記事に関わった人々

  • オルガン・コーダル

    Olgun Kordal

    英国編集部フォトグラファー
  • マット・ソーンダース

    Matt Saunders

    英国編集部ロードテスト・エディター
  • リュク・レーシー

    Luc Lacey

    英国編集部フォトグラファー
  • 中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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