最新で最後のエンジン・ロータス エミーラ・プロトタイプへ試乗 3.5L V6は継続 後編

公開 : 2022.03.12 08:26

ロータスとしても、英国車としても、重要なクーペが遂に誕生します。英国編集部が試作車への試乗を許されました。 

サーキットで自由自在に振り回せるパワフルさ

ロータスエミーラの始動時は、デフォルトでドライブモードはツーリングが選択され、エグゾーストのバルブは閉じている。エヴォーラより車内は静かだ。スポーツを選択するとバルブが開き、アイドリング時でも低音が響く。

モードに関係なく、アクセルペダルを踏み込み高回転域まで引っ張れば、相変わらずの美声を響かせる。バックミラー越しに、スーパーチャージャーのバイパスバルブが動く様子が見え、気持ちが高ぶる。

ロータス・エミーラ・プロトタイプ
ロータス・エミーラ・プロトタイプ

レッドラインは、超高回転とはいえない7000rpm。それでも中回転域のトルクが太く、レスポンスは鋭敏。回転域を問わず活発で、早めのシフトアップに耐える粘り強さもある。

車重は1430kgで、最高出力は405psだから、充分にパワフル。グリップ力も高い。パワーウエイトレシオはハインドモデルと比べれば控え目だが、サーキットで思う存分振り回せる。

余談だが、公道で能力を発揮しきれないことへ不満を感じるスーパーカー・オーナーからも、エミーラへ関心が寄せられているとロータス側は話していた。

シフトレバーの動きは正確で、重み付けも良好。3速と4速の間で、少し動きがきつく感じられた。

量産車とは異なり、プロトタイプにはアクティブ・レブマッチ機能が搭載されておらず、サーキットを攻めるにはヒール&トウが求められた。ブレーキペダルの感触は硬く、右足の支点として機能することは確認できた。

ブレーキも良く効く。数周のハードラップで、制動力が落ちることもないようだ。

ステアリングもサスペンションも素晴らしい

ステアリングにも非の打ち所はない。やや時代遅れに思える、油圧パワーステアリングを固持したロータスの判断は、正解だったといえる。メルセデスAMGのユニットを積む方は、電動油圧式になるという。

操舵感は極めて正確で、反応は線形的。ピットレーンでの助走から本コースでのタイトなコーナリングまで、フロントタイヤのスリップアングルなどを鮮明に伝えてくれていた。

ロータス・エミーラ・プロトタイプ
ロータス・エミーラ・プロトタイプ

サスペンションの動きも素晴らしい。電子的なアクティブ・システムを採用していないが、これといった不満も感じられなかった。

コーナーの縁石へ乗り上げるような場面では、優れた衝撃吸収性を披露。滑らかな路面だったとはいえ、ツーリング・サスペンションの柔軟性の片鱗は確かめられたと思う。

ハードコーナリング時はボディロールが明確に発生していたが、これはシャシーへ掛かる負荷をドライバーへ伝えてくれる、お馴染みの動き。トレッドが広いシャシーに、専用のグッドイヤー・タイヤが組み合わされ、グリップも感心するほど高かった。

プロトタイプに搭載されたGメーターの限り、横方向に1Gまで耐えることは確認できた。スポーツ・サスペンションにミシュランのカップ2タイヤという組み合わせなら、さらに高まるに違いない。

扱いやすさでは、プロトタイプの組み合わせでも秀逸。カーショーが率いる開発チームは、限界の高さだけでなく、それを超えた先での懐の深さにも自信を見せる。

記事に関わった人々

  • マイク・ダフ

    Mike Duff

    英国編集部ライター
  • 中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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