斬新スタイルのDセグ・モデル シトロエンC5 Xへ試乗 快適性重視の個性 後編

公開 : 2022.03.21 08:26

シトロエンから、まったく新しいDセグメントの提案。快適性を重視した個性を、英国編集部は気に入ったようです。

価格を考えれば内装素材も高品質

Dセグメントに投入された、カテゴリー・フリーなシトロエンC5 X。内装素材は、手頃な車両価格を考えればかなり質が高い。

頻繁に触れる場所にはソフトタッチ加工が施されているし、レザーやテキスタイルの選択肢も豊富。小さなシェブロン・マーク(シトロエンのロゴ)が並んだパターンも選べる。組み立て品質も優れているといえる。

シトロエンC5 X ピュアテック130 シャイン(欧州仕様)
シトロエンC5 X ピュアテック130 シャイン(欧州仕様)

リアシート側の空間もストロングポイント。なだらかに傾斜したルーフラインの影響で、頭上空間はそれなりだが、膝周りはかなり広い。よほど高身長な大人でない限り、長時間の移動でも不満は出ないだろう。

荷室空間は、ボディサイズを考えると期待ほど大きくはない。それでもリアシートを利用した状態で545Lあり、充分な容量は持っている。荷室フロアはフラットで、リアシートはテールゲート側からでも簡単に倒せる。

シトロエンの話では、リアシートをたたまなくても一般的な洗濯機を載せられるという。春の引っ越しにも便利そうだ。

さて、今回試乗したC5 Xは、1.2L 3気筒ガソリンターボのピュアテック130と、1.6L 4気筒ガソリンターボに駆動用モーターが組み合わされたPHEVの2種類。筆者は、前者の130の方が好ましいと感じた。

快適で好印象なドライブフィール

といっても、PHEVのシステムも洗練され好印象ではある。駆動用モーターとバッテリーだけで走行するEVモードなら、感心するほど静かに市街地を移動できる。しなやかな足まわりは、ツギハギの多い路面も見事に均してくれる。

シトロエンらしく、ステアリングやペダルはとても軽く、リニア性には欠ける。乗員を不快にさせないよう、滑らかに運転するには丁寧な操作が求められるだろう。特に、カックンブレーキなしでの停止は難しいと感じた。

シトロエンC5 X ピュアテック130 シャイン(欧州仕様)
シトロエンC5 X ピュアテック130 シャイン(欧州仕様)

ただし敏感なのは、操作し始めなど低速域での反応だけ。走行スピードが高まっていくと、改善していく。入力に対するクルマの動きが予想しやすくなり、疲れも少ない。カテゴリーは異なるが、トヨタGR86にも通じる特長だと思う。

ピュアテック130では、一層印象が良い。PHEV版の車重が1722kgもあるのに対し、130は1418kgに留まることも、助けているのだろう。

乗り心地は同等に優れ、それでいて反応は機敏。操作感は軽いままだが、クルマの動きも軽快になり、入力に対する反応をより予想しやすい。

ドライブトレインからは、PHEVと比べればノイズが車内に届いてくる。8速ATは頻繁にギアを変え、エンジンからは振動も伝わってくる。しかし意欲的に回り、粘り強く充分なパワーを発揮してくれる。

走行時の静寂性や反応は、褒められる水準。うるさいと感じるほどではなく、フィーリングは上質といっても構わない。

記事に関わった人々

  • 執筆

    マット・プライヤー

    Matt Prior

    英国編集部エディター・アト・ラージ
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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