忘れがたきレイランドの傑作 ローバーSD1シリーズ 3500からV8-Sまで 後編

公開 : 2022.04.09 07:06

ローバーの新時代を象徴するサルーンとして誕生したSD1。カー・オブ・ザ・イヤーにも輝いた傑作を、英国編集部がご紹介します。

モダンな雰囲気に3500へ近いインテリア

カリビアン・ブルーのローバー2300を大切にする、クリス・パウエル氏。とても運転が楽しいと話す。

「エンジンは滑らかで粘り強く、パワーは充分。ギア比の設定も良いと思います。でも、オプションだったパワーステアリングがなく、駐車時は重くて大変ですが」

ローバー2300(1977〜1986年/英国仕様)
ローバー2300(1977〜1986年/英国仕様)

パウエルは、ローバーが想定した市場へ、2300は合致するように作られていたと考えている。しかし後期型のシリーズ2では改良を受け、シリーズ1ほど質素な内容ではなくなった。

それでも、より快適な走りを求める人のために、1つ上のローバー2600という選択肢も用意されていた。ランチア・ガンマ・ベルリーナやプジョー604 Tiと並んで、有能なサルーンの一角をなしていた。

新車当時、シリーズ1の2600の英国価格は5800ポンド。BMW 520iより手頃で、188km/hの最高速度を誇り、パイルカーペットが敷かれたゴージャスな車内が特長。マップライトなども備わり、2300より格上の内容が与えられていた。

ジョン・ハーパー氏がオーナーの2600は、1978年式。アボカド・グリーンに塗られた個体としては、現存する唯一だと考えられている。鮮やかなボディ色は、彼がこのクルマを選んだ動機にもなったらしい。

2600の車内は、2300より3500へだいぶ近い。モダンな雰囲気に、新車時のオーナーも満足できただろう。ウッドパネルのないダッシュボードは、ミニマリストを意識したデザインとして、SD1に共通していた。ステアリングホイールのパッドも個性的だ。

フラッグシップとなる最上級のローバー

ハーパーがこの2600のオーナーになったのは、14年前。しかし、新車時からファンだったと明かす。追加されているオプションは、パワーステアリングのみ。これまでに一度も、大々的なサビの修復や再塗装は行われていない。

「1970年代後半になると、クルマ好きは2600がスポーツセダンだと気付き始めました。軽量な2597ccの6気筒エンジンと、マニュアルの組み合わせを好んだんです。少数派というモデルの立ち位置は、わたしが好きな点でもあります」

ローバー2600(1977〜1986年/英国仕様)
ローバー2600(1977〜1986年/英国仕様)

そしてミダス・ゴールドのもう1台、弁護士や会社の取締役にピッタリなSD1シリーズが、V8-Sだ。1979年7月2日、ローバーは「最高とそれ以外との違い」を表現した上級モデルとして、このグレードを投入した。

SD1のフラッグシップとして良く効くエアコンを備え、北米市場への復帰を探る仕様でもあった。英国では、ヴォグゾール・ロイヤル(オペル・セネター)のオーナーを、振り向かせる狙いもあった。

「ユニークなスタイルと豪華な走行フィーリングとを完璧に融合させた、最上級のローバーを生み出しました」。と、新車時のパンフレットでは誇らしげに主張されていた。

毛足の長いパイルカーペットが敷かれ、ヘッドライト・ワイパーとスライディング・ルーフが自慢。メッシュのアルミホイールを履き、フロントノーズには、エナメル塗装されたカラフルなエンブレムがあしらわれた。

記事に関わった人々

  • 執筆

    アンドリュー・ロバーツ

    Andrew Robrts

    英国編集部ライター
  • 撮影

    ジョン・ブラッドショー

    John Bradshaw

    英国編集部フォトグラファー
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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