ランボルギーニ初のEV 4人乗りのグランドツアラーとして2028年発売予定 ウルスEVも登場

公開 : 2022.07.14 19:05  更新 : 2022.07.14 20:48

ランボルギーニは2028年に同社初のEVを投入する予定です。2+2のグランドツアラーとして、新しい顧客層を狙うとのこと。同社のトップが明かしました。

ランボ初のEVはグランドツアラーに

ランボルギーニ初のEV(電気自動車)は、2+2のクロスオーバー車として2028年に登場する。同社のステファン・ヴィンケルマンCEOがAUTOCARに明かした。

この新型車によりラインナップに第4のモデルラインを形成し、それに続いてEV専用モデルのウルス後継が登場する予定であるという。

2008年に公開されたランボルギーニのコンセプトカー「エストーケ」。市販化には至らなかったが、現在開発中の新型EVに影響を与えていると考えられる。
2008年に公開されたランボルギーニのコンセプトカー「エストーケ」。市販化には至らなかったが、現在開発中の新型EVに影響を与えていると考えられる。    ランボルギーニ

興味深いことに、この2台のEV発売により、ウラカンアヴェンタドールといったスポーツモデルが、少なくともあと2世代はPHEV(プラグインハイブリッド)としてガソリンエンジンを引き続き搭載する可能性も出てきた。

つまり、欧州のほとんどの地域で新車の完全電動化が法制化される2035年までは、ランボルギーニから内燃機関モデルが販売される可能性があるということだ。これは、EVによってランボルギーニの企業平均CO2排出量を削減することができるためである。

さらに、比較的少量生産のメーカーであることから、大手メーカーとは異なる排ガス規制が適用される可能性がある。昨年の世界販売台数は過去最高の8405台だった。

ヴィンケルマンCEOはまた、CO2排出量目標の達成に向けたアプローチとして、合成燃料の使用について現在協議中であることを明らかにしている(現在、立法機関もその実現可能性について議論している)。

「最初のステップは、2030年までに2台の完全EVを発売することです」とヴィンケルマンCEOは述べている。「その結果、内燃機関の販売を続けられるのか、それともEVに移行しなければならないのか、決定することになります」

「最終的な結論を求めるプレッシャーは、まだありません。欧州議会が禁止を決定すれば、当然、わたし達にも影響が及ぶでしょう。しかし、欧州以外の市場も考慮しなければなりませんし、まだ明確になっていない規制もあります」

「グローバルな計画の調和を歓迎する、と言っておきましょうか。市場は多様で、さまざまな計画があるため、時間をかけて最善のルートを検討しなければなりません。簡単なことではありませんよ」

「もちろん、期限よりも早く決断しなければなりませんし、規制の確定を待てないということもあるかもしれませんが、今回の2台の完全EVによる戦略は、検討する時間を多く取れる決断だと思います」

宇宙船のような外観を持つ新たなモデルライン

具体的な内容は明かされなかったが、2+2の新型クロスオーバーは、2008年に公開された4ドア・セダンのコンセプトカー「エストーケ」からインスピレーションを得ていると予想される。

ランボルギーニの関係者は当時、エストーケに対する顧客の期待は大きかったが、販売予測に対して開発コストがかかるため、フォルクスワーゲン・グループの優先順位から市販化に至らなかったとほのめかしている。代わりに、昨年5021台が販売されたウルスのように、SUVモデルの迅速な開発に資金が投入されたようだ。

2028年に登場予定のEVは、2+2の「グランドツアラー」になるという。2ドアなのか4ドアなのかは、まだ憶測の域を出ない。(画像は予想レンダリング)
2028年に登場予定のEVは、2+2の「グランドツアラー」になるという。2ドアなのか4ドアなのかは、まだ憶測の域を出ない。(画像は予想レンダリング)    AUTOCAR

エストーケは4ドアのスポーツセダンというスタイルをとっていたが、EVではバッテリーパックをフロアに設置するため、車高は大幅に高くなると考えられる。デザインも、従来のモデルとの差別化としてドラマチックなスタイリングが採用されるだろう。

今のところ、本稿では「クロスオーバー車」と表現しているが、ヴィンケルマンCEOはデザインについて、EV独自のパッケージングにより「興味深い道が開かれる」としている。これまでにない新しいスタイルとなるかもしれない。

ランボルギーニのデザイン責任者であるミィティア・ボルケルトは、最近AUTOCARの取材に対し、ランボルギーニの今後のモデルはすべて「宇宙船のような外観」になるだろうと語った。

プラットフォームとしては、ベントレーアウディが共同開発した「アルテミス」プラットフォームが採用される可能性がある。ベントレー初のEVモデルにも採用されることから、ランボルギーニの2+2も2ドアとなるかもしれない。

近年、超高級4ドア・セダンの人気は衰えてきている。市場アナリストのジェイトー・ダイナミクスのデータによると、2010年には同カテゴリーの販売構成比が21.6%だったのが、現在ではわずか9.1%にまで落ち込んでいる。

価格としては5000万円を超え、ラインナップで最も高価なモデルとなる可能性もある。しかし、現在最も高価なモデルであるアヴェンタドール(約4600万円)も、後継ではハイブリッド化によるコスト上昇の影響を受けるはずだ。

記事に関わった人々

  • 執筆

    ジム・ホルダー

    Jim Holder

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    平成4年生まれ。テレビゲームで自動車の運転を覚えた名古屋人。ひょんなことから脱サラし、自動車メディアで翻訳記事を書くことに。無鉄砲にも令和5年から【自動車ライター】を名乗る。「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。イチゴとトマトとイクラが大好物。

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