クラシカルなボディに秘めたZ34 日産フェアレディZへ試乗 405psの3.0L V6ターボへ

公開 : 2022.10.25 08:25  更新 : 2022.10.26 12:04

お手頃なスポーツカーが減る現在にあって、孤軍奮闘した日産。RZ34型へ進化したZを、英国編集部は少々辛口に評価します。

長年フェアレディZを守ってきた日産

世界の自動車市場は、21世紀に入って大きく変わった。特に、比較的手頃な価格帯のスポーツカーでは。

振り返るとZ33型のフェアレディZが発売されたのは2002年で、20年も前だったことに驚いてしまう。アメリカ・カリフォルニアで開かれたメディア向け発表会の記憶が、遠く感じられるわけだ。

日産フェアレディZ パフォーマンス(日産Z/北米仕様)
日産フェアレディZ パフォーマンス(日産Z/北米仕様)

2002年のフェアレディZは、日産のルネッサンス、再興を象徴するようなクルマに思えた。パワフルな自然吸気のV6エンジンを後輪駆動シャシーに搭載し、ハンサムなスタイリングのボディで包み込んだ、手頃な価格の2シーター・スポーツクーペだった。

ドライビング体験は、最高の洗練度とまではいえなかった。それでも、パワフルな動力性能にテールを振り回せる操縦性が組み合わされ、世界中でファンを獲得することに成功した。

時代が変わっても、日産はフェアレディZを守ってきた。Z34型が2009年に登場し、ボディはワイドになり、インテリアはラグジュアリーさを高めたが、基本的な個性はそのまま。自然吸気のV6エンジンが、リアタイヤを駆動した。

日産はフェアレディZへ改良を加え続け、ハードコアなニスモ仕様もリリースした。しかし、確かに一定量は売れていたが、フルモデルチェンジできるほどの数を販売できなかった。現在の欧州市場から、フェアレディZの姿は消えてしまった。

Q50由来の3.0L V6ターボは405ps

それでも、アメリカ市場で日産は諦めていなかった。クラシカルなスタイリングの内側にZ34型の基本構造を隠しつつ、新世代としてRZ34型が登場した。見た目は一新されているが、確かにホイールベースは2550mmで変わっていない。

パワートレインは新しく、従来の3.7L V6自然吸気から、3.0L V6ツインターボへ置き換わっている。日産の上級ブランド、インフィニティQ50スカイライン)に搭載されるユニットが由来で、最高出力は405psを発揮する。ただし、従来より80kgも重い。

日産フェアレディZ パフォーマンス(日産Z/北米仕様)
日産フェアレディZ パフォーマンス(日産Z/北米仕様)

トランスミッションは、6速マニュアルか9速オートマティックが選べる。上級のパフォーマンス・グレードを選べば、リミテッドスリップ・デフも装備される。

スタイリングはシャープさを増し、1980年代風でありつつ未来的。リアフェンダーの給油リッドが不自然に大きいが、Z34型の構造をベースに新しいボディパネルを被せたことで生まれた妥協といえる。Z32型に似たテールライトが筆者は好きだ。

インテリアでは、旧世代感を隠せていない。モニター式のメーターパネルや、最近の必須アイテムといえる大きなタッチモニターは得ているものの、全体的にはZ34型の名残りがある。

ダッシュボード上に3枚のアナログメーターが並んでいるのも、前世代と同じ。レバー式のハンドブレーキなども、クラシカルなアイテムといえる。

エアコン用のダイヤルは運転席から見にくく、奥へ追いやられた印象。パワーシートの調整スイッチは、シートベース部分にあり触れにくい。

記事に関わった人々

  • 執筆

    マイク・ダフ

    Mike Duff

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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