ミニバン食いで成功「マツダCX-8」 今、変化が必要なワケ 大幅改良 背景にCX-80?

公開 : 2022.11.02 11:30

マツダは2017年に日本市場に投入したCX-8の大幅改良を発表。改良のポイントとテコ入れをおこなった背景を解説します。

CX-8が「大幅」改良

マツダがこの時期に、「CX-8」の商品改良をおこなった。しかも「大幅改良」と銘打つほどの力の入れようだ。

なぜ、このタイミングなのだろうか? そこには深いワケがある。

マツダCX-8改良モデル
マツダCX-8改良モデル    マツダ

すでに、CX-8というクルマについて詳しい方も少なくないと思うが、今回の大幅改良という「タイミングのワケ」を知るうえでも、あらためてCX-8とはどんなクルマなのかをご紹介しておこう。

CX-8の歴史はあまり長くない。初登場したのは、いま(2022年)から5年前の2017年である。

登場の背景には、当然だがCX-5の存在がある。端的にいえば、CX-8はCX-5の3列シート車なのだから。

そのCX-5だが、初代が登場したのが2012年だった。

この時、マツダにとってCX-5は、まさにエポックメイキングな存在だったといえるだろう。

マツダの商品世代でいえば、2012年からが第6世代と呼ばれる。単純に、「第5世代の次」なのではなく、マツダ史上最大の商品ラインアップ大変革期の始まりだった。

今ではすっかり馴染みになって、スカイアクティブエンジンや、魂動デザインなどは第6世代を契機に一斉に世に出たマツダのモノづくりにおける理念である。

マツダにとっては、起死回生の大きな賭けだった第6世代への転換は、マツダの心配をよそにグローバル市場でのCX-5大成功で幕を開けた。

そのCX-5が2017年から第2世代の販売が始まった。これを追うを形でCX-8も登場した。

ミニバン層取り込みの使命

CX-8の誕生の背景について、今回の大幅改良に関するオンライン会見でマツダ側が2017年当時の市場環境を振り返った。

それによると、第6世代に登場によってそれまでマツダをまったく知らなかった新しい顧客がマツダ車を楽しむ時代になっていた。

マツダMPV(画像)やビアンテといったスライドドアを装備するミニバンは廃止。マツダは、「3列」のニーズに対してCX-8を提案した。
マツダMPV(画像)やビアンテといったスライドドアを装備するミニバンは廃止。マツダは、「3列」のニーズに対してCX-8を提案した。    マツダ

CX-5を皮切りに、「アテンザ」や「デミオ」は商品イメージが刷新され、新顔の「CX-3」も加わった。

そして、マツダの真骨頂である人馬一体を極めた「ロードスター」も第4世代NDへと見事に進化していた。

そうした第6世代を楽しむ顧客に対して、CX-5の乗り換えだけではなく、別の選択肢を提供しようというのがCX-8開発の狙いだった。

CX-8は、マツダ第7世代に向けた架け橋だったといえるだろう。

もう1つの視点は、ミニバン顧客への対応だ。

CX-8登場前に、マツダの新ミニバンに対するうわさが立ったことがある。スカイアクティブと魂動デザインを用いた、MPVの後継車というイメージでだ。

ところが、実際に登場したのはCX-5の3列シートのCX-8であり、これは北米向けCX-9とは違う、日本市場を意識したモデルだった。

まだ市場が小さかった3列シート上級SUVで上級ミニバンに対抗しようという試みだったのだ。

マツダは、3列乗用車=スライドドアミニバンというそれまでの常識を破ろうとしたのだ。

記事に関わった人々

  • 執筆

    桃田健史

    Kenji Momota

    過去40数年間の飛行機移動距離はざっと世界150周。量産車の企画/開発/実験/マーケティングなど様々な実務を経験。モータースポーツ領域でもアメリカを拠点に長年活動。昔は愛車のフルサイズピックトラックで1日1600㎞移動は当たり前だったが最近は長距離だと腰が痛く……。将来は80年代に取得した双発飛行機免許使って「空飛ぶクルマ」で移動?

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