基本の大切さを示すハッチバック ホンダ・シビック(2) 長期テスト 感動を覚える運転体験

公開 : 2023.01.28 09:45  更新 : 2023.06.29 08:46

SUV人気で従来的なハッチバックは減少傾向。ホンダの意欲作はその流れに一石を投じるのか。英国編集部が実力を確かめます。

積算7634km 感動を覚えるほどの運転体験

新しいホンダシビックは、自動車業界の未来を指し示すような革新的な存在ではないかもしれない。だとしても、素晴らしいドライビング体験を与えてくれる。今回の結論からいってしまうと、11代目シビックの走りには感動を覚える。

センターコンソール上のシフトセレクター・ボタンの隣りにある小さなスイッチで、ドライブモードを選べる。エコ、ノーマル、インディビジュアル、スポーツという4モードが用意されている。

ホンダ・シビック 2.0 i-MMD e:HEV アドバンス(英国仕様)
ホンダ・シビック 2.0 i-MMD e:HEV アドバンス(英国仕様)

その項目はありきたりかもしれない。だが、スポーツ・モードでの運転は本当に楽しい。

印象的なほどグリップに優れ、手のひらには余り感触が伝わってこないものの、ステアリングは正確。そして何より、ボディロールを最小限に抑えつつ、しなやかさも保たれたサスペンションの制御が秀逸だ。

筆者の毎日の通勤ルートには、路面がうねった区間があり、モデルによってはボディがバウンドすることもある。新しいシビックは見事にそれを受け流し、タイヤは路面を掴み続ける。鋭い衝撃が伝わることもない。

スポーティだと主張されるモデルは多いが、サスペンションの詰めが不十分な場合、特にリアシートに座っている子どもは激しく上下に揺さぶられてしまう。もっとも、彼らとしてはアトラクションのようで、揺れるのも楽しいらしいが。

シビックの流暢な処理には拍子抜けらしい。スピードを上げて欲しいと、子どもに頼まれてしまうほど。

スポーツ・モードでツーリングカー気分

スポーツ・モードへ切り替えると、メーター用モニターの表示がレッドに変わり、アクセルペダル操作への反応が鋭くなる。4気筒ガソリンエンジンのサウンドは、明らかに威勢を増す。ツーリングカー選手権のドライバー気分を味わえる。

ひと昔前の、活気のあったホンダを彷彿とさせるヒントもある。気持ちも吸い込まれそうな高回転域への吹け上がりはないものの、ハリのあるエッジの効いたノイズが気持ちいい。4気筒エンジン特有の、こもった響きはない。古いCVTのような不一致感もない。

ホンダ・シビック 2.0 i-MMD e:HEV アドバンス(英国仕様)
ホンダ・シビック 2.0 i-MMD e:HEV アドバンス(英国仕様)

さらにこのモードでは、ワインディングロード・ディテクションという新機能も有効になる。道路状況に応じてパワートレインが最適な状態に保たれ、エンジンは基本的に稼働状態になる。加減速の反応も鋭くなる。

新しいシビックは先代より車重が増えているが、それでも1517kgと現代のクルマとしては軽い部類に入る。長期テスト車両の場合でも1533kgに留めている。

動的能力と重量増加は相容れないものだが、ホンダは軽量化に努め、影響を最小限に留めた。ボンネットは従来品より43%も軽いアルミ製だし、テールゲートは樹脂製を採用している。電動化技術の時代でも、少しでも軽い方が良いことは間違いない。

記事に関わった人々

  • 執筆

    ピアス・ワード

    Piers Ward

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

長期テスト ホンダ・シビックの前後関係

前後関係をもっとみる

関連テーマ

おすすめ記事

 

ホンダ シビックの人気画像