低速域と相性の良いHV ホンダ・シビック(3) 長期テスト 実際に近いカタログ燃費

公開 : 2023.03.11 09:45  更新 : 2023.06.29 08:47

SUV人気で従来的なハッチバックは減少傾向。ホンダの意欲作はその流れに一石を投じるのか。英国編集部が実力を確かめます。

積算9480km 実際の数字へ近いカタログ燃費

ホンダシビックのハイブリッド・システムは巧妙で、プラグイン・ハイブリッドのように充電の必要はない。4気筒ガソリンエンジンは、日常的な速度域ではタイヤを駆動するのではなく、駆動用モーターとバッテリーへ電気を供給することに徹する。

高速道路などでは、エンジンがフロントタイヤを駆動し始める。この方が効率は良いためだ。CVTが組まれた他のハイブリッドのように、エンジンが不意にうるさく回ることはない。英国の交通事情でも効果的に機能し、トヨタプリウスより静かだとも思う。

ホンダ・シビック 2.0 i-MMD e:HEV アドバンス(英国仕様)
ホンダ・シビック 2.0 i-MMD e:HEV アドバンス(英国仕様)

これまで約4000kmを走行し、日常的な条件での燃費が明らかになってきた。運転が楽しいハイブリッドのシビックとはいえ、最終的にこの手のハッチバックを選ぶ人が1番気にするポイントは、ランニングコストだと思う。

ホンダが主張する燃費は、WLTP値で20.0km/L。プラグイン・ハイブリッドほど振るわないのの、そちらの場合はテスト条件に即した理想値であることが多い。しかし、シビックの値は現実的に得られる数字へ近いといえるだろう。

これまでの長期テストで、筆者が確認したベストの平均燃費は20.2km/L。最も悪かった時は16.3km/L。全体での平均値は、18.5km/Lとなっている。

穏やかな一般道での走行と相性が良い

これは、グレートブリテン島の東部、リンカンシャー州から南部のロンドンまでの、高速道路での移動だけではない。一般道を軽快に飛ばしながらの学校への送り迎えや、速度域の低い市街地でのお買い物まで含めた数字として考えると、優秀だといっていい。

むしろシビックのハイブリッドは、ガソリンエンジンへ強い負荷が掛からない、穏やかな一般道での走行と親和性が高い。ベスト燃費を得られた時は、平均速度が50km/h以下で、短距離移動が中心だったことが功を奏したようだ。

ホンダ・シビック 2.0 i-MMD e:HEV アドバンス(英国仕様)
ホンダ・シビック 2.0 i-MMD e:HEV アドバンス(英国仕様)

反面、高速道路を長距離走るような場面では、燃費が伸びにくい。低い回転数を保ちながら、太いトルクで突き進めるディーゼルターボなら得意な条件といえるが、2.0Lガソリンエンジンと駆動用モーターを積んだシビックでは違う。

パワートレインは巧みに制御されるが、高めの速度域を長時間維持するには、エンジンと駆動用モーターは懸命に仕事をすることになる。目立った渋滞がなく、平均速度が95km/h前後へ高まると、16.3km/Lから17.1km/L程度へ悪化するようだ。

もっとも、荒々しい質感が伝わってきたり、車内がノイズでうるさくなることはない。リラックスして、ラジオを楽しみながら移動時間を過ごせる。

記事に関わった人々

  • 執筆

    ピアス・ワード

    Piers Ward

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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