フォルクスワーゲン 電動SUV「ID.Ruggdzz」再始動か 頑丈なラダーフレームEVに

公開 : 2023.01.24 06:05

フォルクスワーゲンは、中止されていたオフロードEV「ID.Ruggdzz」の発売計画を再始動させた可能性があります。ピックアップトラックの頑丈なシャシーにバッテリーを積む電動SUVになると考えられます。

ピックアップトラックのシャシーを活用

フォルクスワーゲンは、オフロード志向の電動SUV「ID.Ruggdzz」の開発を進めている。発売計画は中止されたという報道もあったが、現在、中型ピックアップトラックのアマロックに使用されるラダーフレーム構造をベースとして、再び軌道に乗ったようだ。

12月に南アフリカで行われた新型アマロックの発表会で、フォルクスワーゲン・コマーシャル・ビークル(商用車部門)のカーステン・イントラCEOはAUTOCARのインタビューに答え、ラダーフレームにバッテリーと電気モーターを収容するための開発作業が進行中であることを明らかにした。

ID.Ruggdzzの発売計画は2020年後半に中止されていた。(画像は予想レンダリングCG)
ID.Ruggdzzの発売計画は2020年後半に中止されていた。(画像は予想レンダリングCG)    AUTOCAR

アマロックのラダーフレームは、フォードが開発したもので、ガソリンエンジンやディーゼルエンジンのほか、PHEV(プラグインハイブリッド)システムの搭載も可能だ。このラダーフレームの完全電動化について尋ねられたイントラCEOは、「フォードとともに検討しています。まだ検討中です」と答えた。

それ以上の詳細は明らかにしなかったが、フォルクスワーゲンは現在、コードネーム「T6」と呼ばれる電動化シャシーを、ID.Ruggdzzをベースとする新しいSUVモデルに採用することを検討しているとの情報もある。

フォードは、アマロックとラダーフレームを共有するレンジャーをベースに、7人乗りSUVのエベレストを開発した。これと同様のアプローチで、フォルクスワーゲンは電動SUVを作ろうとしているのかもしれない。

2019年に初めて公開されたID.Ruggdzzは、もともとフォルクスワーゲン・グループのMEBプラットフォームを中心に構想されたコンセプトモデルだ。当時、フォルクスワーゲンのブランドCEOであるラルフ・ブランドシュテッター氏(現フォルクスワーゲン中国部門責任者)は、フォード・ブロンコジープラングラートヨタ4ランナーに対抗する電動モデルになることを示唆していた。

当初は2023年までに市販化する計画だったが、2020年後半にソフトウェアの不具合を受けて、EV事業の再編のために凍結された。同時にID.Buggy(IDバギー)の発売計画も中止され、代わりにID.3ID.4といった量販モデルの確立に注力するようになった。

F-150を生んだフォードと共同開発

ID.Ruggdzzの計画復活をめぐる詳細はまだ不明だが、AUTOCARの取材により、コードネーム「T6」シャシーの開発は、新型アマロックの開発にも携わったフォード・オーストラリアが担当していることが確認された。

また、イントラCEOによると、さらなる開発作業は、米国フォードのディアボーン本社で行われているという。

ベースになると思われるフォルクスワーゲン・アマロック
ベースになると思われるフォルクスワーゲン・アマロック    フォルクスワーゲン

しかし、このような電動SUVに期待されるパワーと航続距離を実現するためには、少なくとも110kWhのバッテリーが必要であることは関係者も認めている。

フォードは、ラダーフレームの電動化の経験がある。F-150とFシリーズ・スーパー・デューティを支える「Pプラットフォーム」は、98kWhおよび131kWhのバッテリーと、2基の電気モーターを搭載できるよう設計されている。

フォルクスワーゲンの「T6」はこれより小型と思われるが、ID.Ruggdzzでは、アマロックやレンジャーが採用しているリーフスプリング式リアサスペンションからマルチリンク式リアサスペンションに変更される可能性がある。

記事に関わった人々

  • 執筆

    グレッグ・ケーブル

    Greg Kable

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    1992年生まれ。幼少期から乗り物好き。不動産営業や記事制作代行といった職を経て、フリーランスとして記事を書くことに。2台のバイクとちょっとした模型、おもちゃ、ぬいぐるみに囲まれて生活している。出掛けるときに本は手放せず、毎日ゲームをしないと寝付きが悪い。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。仕事では「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。

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