共感できるベーシックな魅力 シトロエンC3 ユー!へ試乗 C1に代わるベースグレード

公開 : 2023.03.15 08:25

英国仕様のC3へ新たに加わったベースグレードが、ユー!。小型フランス車らしいベーシックな魅力を、英国編集部は評価します。

C1の後を担うC3のベースグレード

シトロエン最小のハッチバック、C1は、2022年の英国では約1万4000ポンド(約225万円)で購入可能だった。欧州市場では、安全性や環境性能などを理由に、新しい小型モデルを低価格で提供することが難しい状況になっている。販売終了が惜しまれる。

とはいえ、そのC1が2014年に発売された時の英国価格は、8000ポンドを切っていた。インフレを加味しても、価格上昇は抑え切れていなかった。月日が過ぎる毎に、市民の足のような手頃なクルマ、というシトロエンらしさが薄れていたことも事実だろう。

シトロエンC3 ユー! 1.2ピュアテック(英国仕様)
シトロエンC3 ユー! 1.2ピュアテック(英国仕様)

そんなC1の後を担うべく、コストパフォーマンス抜群の小さなシトロエンとして販売されているのが、今回試乗したC3 ユー!だ。C1は全長3470mmしかなかったが、C3は3996mmもあり、ふた回りほど大きい。それでいて、従来のC1よりも安い!

トヨタヤリスフォルクスワーゲン・ポロとサイズは同等で、シティコンパクトとしては大きめといえるが、まだ充分にコンパクト。不足ない車内空間を持つ5ドア・ハッチバックで、定員は5名が指定されている。荷室容量は300Lある。

C3の新たなベースグレードに据えられ、2023年現在の英国価格は1万3805ポンド(約222万円)。2022年4月に発表された段階では、1万2995ポンド(約209万円)に設定されており、実質的にC3の最低価格が20%程下がったことを意味していた。

大胆なスタイリングに立派な標準装備

近年のシトロエンは、商談時の値引きを小さくし、契約時に提示される実際の金額へ近い価格設定へ改めようと動いている。その方針を盛り込みつつ、C3の場合は全体で内容もベーシックなものへ調整を受けている。

C3 ユー!の標準装備は、充実とまではいえないにしろ、英国仕様のベースグレードとして考えれば立派。不要なものが削り落とされたような、淡白なモデルではない。

シトロエンC3 ユー! 1.2ピュアテック(英国仕様)
シトロエンC3 ユー! 1.2ピュアテック(英国仕様)

大胆なスタイリングに変わりはないし、ドアハンドルやバンパーはボディと同色に塗られている。ドアミラー・カバーはホワイト仕上げで、アクセントとして効果的だ。

Cピラーにはブラックの装飾が入り、ご希望なら、ルーフをホワイトのツートーンにすることも可能。単なるベースグレードとは一味違う。

インテリアは、外観と比べれば確かに簡素。シンプルで、上級感が漂うわけではない。より金額の高いシトロエンが採用する、オシャレで鮮やかな内装は価格に合わないのだろう。

全体的に色調はダークで、低コストを感じさせるプラスティック製部品が隠すことなく採用されている。ステアリングホイールのリムも硬いプラスティックのまま。

フロントシートは充分に大きいものの、クッションが柔らかく、ランバーサポート部のコシが弱い。長距離では腰が痛くなるかも。リアシート側の空間は広々とはいえないが、このクラスでは平均的といえる。少なくとも、シートカバーの配色は明るめだ。

記事に関わった人々

  • 執筆

    マット・ソーンダース

    Matt Saunders

    英国編集部ロードテスト・エディター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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