トヨタ・ハイラックス 水素燃料電池車(FCEV)発表 BEVでは難しい遠隔地での商用利用を想定

公開 : 2023.09.06 19:25

・トヨタがピックアップトラックのFCEVプロトタイプを公開。
・英国政府の支援を受け、遠隔地での商用車としての使用を想定。
・10台のプロトタイプにより安全性、耐久性、機能性などを厳しくチェック。

人気のピックアップトラックが水素燃料電池車に

トヨタは、ハイラックスをベースとする水素燃料電池車(FCEV)のプロトタイプを欧州で発表した。英国政府の資金援助を受けて、バッテリーEVの充電が難しい遠隔地での商業利用を想定し、コンソーシアム・パートナーとの共同プロジェクトで開発された車両である。

ハイラックスは通常、2.4Lディーゼルエンジンを搭載しているが、このプロトタイプはトヨタの第2世代燃料電池システムのコンポーネントを使用している。ミライと同様のシステムで、予想航続距離は600km以上とされる。

トヨタ・ハイラックスFCEVのプロトタイプ
トヨタ・ハイラックスFCEVのプロトタイプ    トヨタ

燃料電池で発電した電気を蓄えるバッテリーは、キャビン空間に影響を与えないよう後部荷台に配置されている。プロトタイプは年内に10台製作される予定で、安全性、動的性能、機能性、耐久性などが量産モデルに求められる高い基準を満たしているかどうかを確認するという。

このプロジェクトは、トヨタ・モーター・マニュファクチャリングUK(TMUK)が、英国のエンジニアリング会社リカルド、ETL、D2H、サッチャムリサーチとともに2022年から進めてきた。また、トヨタの欧州研究開発チームの支援も受けたという。

TMUKのリチャード・ケンワーシー代表は次のように述べた。

「プロジェクトチームは、プロトタイプの製造エリアの構築から最初の車両の完成まで、非常に短い期間で信じられないような仕事を成し遂げました。英国政府の資金援助により、記録的な速さで新型車を開発できただけでなく、水素関連技術に取り組むチームのスキルアップも図ることができました」

英国政府は総額7000万ポンド(約130億円)を投じ、孤立した地域でのさまざまな用途に適したゼロ・エミッション車開発を支援している。このうち、トヨタ・ハイラックスFCEVのプロジェクトには1130万ポンド(約21億円)が割り当てられた。その他の支援プロジェクトには、農業廃棄物を動力源とするトラクターや、水素を動力源とするHGV(大型商用車)などがある。

トヨタ・モーター・ヨーロッパの社長兼CEOであるマット・ハリソン氏は、「今回の資金提供は、ゼロ・エミッションのソリューションを開発する素晴らしい機会となります」と述べている。

記事に関わった人々

  • 執筆

    ウィル・リメル

    Will Rimell

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    1992年生まれ。幼少期から乗り物好き。不動産営業や記事制作代行といった職を経て、フリーランスとして記事を書くことに。2台のバイクとちょっとした模型、おもちゃ、ぬいぐるみに囲まれて生活している。出掛けるときに本は手放せず、毎日ゲームをしないと寝付きが悪い。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。仕事では「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。

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