トヨタ・ハイラックス 詳細データテスト オンよりオフの走りで本領発揮 乗り心地には改善の余地あり

公開 : 2023.03.11 20:25  更新 : 2023.04.03 23:17

GRスポーツのハイラックスは、実用性はそのままに、スポーティな外観とややスポーティな足回り、余裕の増したエンジンをプラスしています。が、走りの増強度は公道ではわかりづらいレベル。刺激的というほどではありません。

はじめに

欧州のライトピックアップトラック市場を放棄したメーカーは数知れないが、それも必然と言えるだろう。そんな中で、2メーカーがこのカテゴリーのトップ争いを繰り広げている。トヨタフォードだ。そして、そこから興味深いモデルが誕生することとなった。

現行フォード・レンジャーは2世代目となるが、その強力なライバルがトヨタ・ハイラックス。こちらは60年にわたり生産され、いまや8世代を数える老舗ブランドである。

テスト車:トヨタ・ハイラックス 2.8 D-4D GRスポーツ
テスト車:トヨタ・ハイラックス 2.8 D-4D GRスポーツ    LUC LACEY

この2台、欧州のみならず、オーストラリアなどの市場でも鎬を削っている。フォードのほうはすでに、新型V6ターボを積むラプター仕様でわれわれの関心を掴んでいるが、これに対抗するモデルをトヨタも送り込んできた。それが、ダカール・ラリーにインスピレーションを得たハイラックスGRスポーツである。

4気筒ディーゼルを積むこのハイラックスは、コンセプトとしてはV6の現行より、ディーゼルモデルだった初代のレンジャー・ラプターに近いと言える。しかし、フォードが積載重量を犠牲にしてまでサスペンションを手直ししたのに対し、トヨタはリアをリーフスプリングのままとして、1t級の積載重量と、働くクルマという本来の用途を維持した。

それでも、ほかのグレードとの走りの差別化は図れているのだろうか。それとも、これは単なるコスメチューンに毛が生えた程度のクルマなのか。そこを確かめてみたい。

記事に関わった人々

  • 執筆

    マット・ソーンダース

    Matt Saunders

    役職:ロードテスト編集者
    AUTOCARの主任レビュアー。クルマを厳密かつ客観的に計測し、評価し、その詳細データを収集するテストチームの責任者でもある。クルマを完全に理解してこそ、批判する権利を得られると考えている。これまで運転した中で最高のクルマは、アリエル・アトム4。聞かれるたびに答えは変わるが、今のところは一番楽しかった。
  • 執筆

    リチャード・レーン

    Richard Lane

    役職:ロードテスト副編集長
    2017年よりAUTOCARでロードテストを担当。試乗するクルマは、少数生産のスポーツカーから大手メーカーの最新グローバル戦略車まで多岐にわたる。車両にテレメトリー機器を取り付け、各種性能値の測定も行う。フェラーリ296 GTBを運転してAUTOCARロードテストのラップタイムで最速記録を樹立したことが自慢。仕事以外では、8バルブのランチア・デルタ・インテグラーレ、初代フォード・フォーカスRS、初代ホンダ・インサイトなど、さまざまなクルマを所有してきた。これまで運転した中で最高のクルマは、ポルシェ911 R。扱いやすさと威圧感のなさに感服。
  • 撮影

    リュク・レーシー

    Luc Lacey

    英国編集部フォトグラファー
  • 翻訳

    関耕一郎

    Kouichiro Seki

    1975年生まれ。20世紀末から自動車誌編集に携わり「AUTOCAR JAPAN」にも参加。その後はスポーツ/サブカルチャー/グルメ/美容など節操なく執筆や編集を経験するも結局は自動車ライターに落ち着く。目下の悩みは、折り込みチラシやファミレスのメニューにも無意識で誤植を探してしまう職業病。至福の空間は、いいクルマの運転席と台所と釣り場。

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