スペシャルショップ

ポルシェ356は燃料コックの取り扱いにご注意

佐藤自動車工業所の佐藤です。
ポルシェ356の独特な操作手順として、「燃料コック」があります。
このコックの場所は、ダッシュボード中央の下、左ハンドル運転席の右前で、右ひざの少し前になります。
プリAから初期Bタイプ(T-5)ボディまでは、ハンドル下向きがAUF=ONになり、メインの吸入口が開きます。
ガソリンが残り10リットルを下回るあたりから燃料がこなくなります。
右回転(時計回り)させて、左側を向くと「RES」=予備位置です。
サブ吸入口が開き、残っている燃料をタンクの底まで使えます。
ハンドルが右を向くと(写真の状態)では「ZU」で、閉まる位置になります。
これはハンドルを左回転(逆時計回り)に回すと、コックが閉まるということです。

Bタイプ後期(T-6)からはハンドルの位置「のみ」が上向きに付いて、今までと正反対となります。
機能は同じで、全部の文字位置が180°回転しただけです。
上向きが「A」となり、左を向くと「Z」で閉まり、右を向くと「R」でサブ吸入口となります。
年式ちがいで、ハンドル位置を変えるわ、文字数まで減らして、分かり難いと、評判が悪いです。

このタンクの切り替えが必要なわけは、たくさんあります。
第一に、坂道でエンジンを下側に停車しているとき、つまり坂を登るスタイルで止めているときです。
燃料タンクからのガソリンは、「重力」だけでエンジンのキャブレターに「強制的」に送られます。
キャブレターのニードルに運悪く大きなゴミが詰まっていたら…
エンジンの中に勝手にガソリンが送られ放題、食べ放題。
気が付かずにセルモーターを回してエンジンを回転させると、大変なことに。
運が良ければ、「エンジンがかからないだけ」で済みます。
エンジンがかかってしまうと、数回転するあいだに大惨事が起こります。
ピストンとヘッドの間でガソリンを押しつぶすことになりますが、液体のガソリンはつぶれないし縮みません。
ピストンのコンロッドやクランクシャフトが曲がり、メタルをつぶし、クランクケースがゆがみます。
まさに「阿鼻叫喚」の事態となり、銀行預金は全部持っていかれるほどのダメージを受けるのです。
そんなわけで、ポルシェ356にとって「坂道駐車」は特別注意事項なのです。
特に、前上がりで停めるときは「燃料コック」を必ずZUの位置にして閉じましょう。

佐藤自動車工業所

東京都江戸川区中央3-16-5
TEL:03-3651-1841 FAX:03-3652-5057
営業時間:9:00〜18:30 定休日:第2土曜日・祝祭日(休日に営業する場合もあり)
http://sato.car.coocan.jp E-mail:[email protected]