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ポルシェ356はどれでも文化遺産か?

佐藤自動車工業所の佐藤です。
ポルシェ356Aの初期は、多くの改良を重ねてソレックス32と40でパワーを出してきました。
当時フェリー・ポルシェは、こんなことを書いています。
『従来のエンジンに少し修正を加えて出力のアップを図り、あまたのレースで覇を競ってきました』
『しかし、決して車の信頼性を犠牲にしてまで勇み足になったことはない』

1957年9月に登場したT-2から、クランクケースは2個のオイルコントロールバルブが採用されました。
これによりオーバーヒートによる油圧低下の対策が完成したのです。
このシステムを改良しながら912エンジンにつながる、オイルシステムとなりました。

私の考えですが、信頼性を増したクランクケースに、もっとトルクフルなキャブレターとしてゼニス32が採用されました。
ゼニスは今までのソレックスと違いツインチョーク式(吸入口が2個あります)です。
そのため、とてもたくさん空気=燃料を吸えるようになりました。
左のソレックス32はシングルに対しゼニス32は2個のベンチュリーになります。
なんか、すごくでかいキャブになったと思いません? 今でいうターボの存在です。

今までのソレックス32でもベンチュリー径を、排気量と必要馬力で、何種類も使い分けていました。
口径は23、24、26mm、それとソレックス40では29mmでした。
ゼニスは60馬力で24口径、75馬力では28口径となり、なんせ片側で「2個」の吸入口です。
馬力をもっと出せるのに遠慮していたのは、BタイプのS-90を予定していたからと邪推してしまいます。

乗りやすくトルクフルで、ジェット交換をすれば簡単に高馬力を出せるようになったのは間違ありません。
当時の356オーナーたちは競ってソレックスを捨ててゼニスに飛びつき、変更しまくられました。
当然、当時の356オーナーにより、1957年以前のオイル系統が弱いエンジンは「たくさん壊されました」
そんなわけで、オリジナルのソレックスを付けている貴重な1957年までの356は、とても少ないのです。
「壊されていないオリジナル番号」のエンジンは、もっと数が少なくなります。
そんな356は世界的な文化遺産ですから、絶対に改造してはいけないのです。

佐藤自動車工業所

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