最新世代マセでサーキットしかもトロフェオ マセラティ・グレカーレ/グラントゥーリズモ

公開 : 2024.04.08 17:45

マセラティ「グレカーレ・トロフェオ」/「グラントゥーリズモ・トロフェオ」を袖ケ浦フォレストレースウェイで走らせます。クローズドコースだからこそわかる「トロフェオ」の本質がそこには存在したようです。

盤石の現行マセラティ、飛ばしてみたい!

かつて、いわゆるビトゥルボの時代のマセラティはカウンター的な存在だった。

カクカクとした形状のハコ車であるにもかかわらず色気を放つボディと、これ以上ないほど豪奢な革内装の組み合わせは鮮烈。そこにパンチの効いたV6やV8のターボエンジンが搭載されていたのだから好き者にはたまらない。

マセラティ「グレカーレ・トロフェオ」/「グラントゥーリズモ・トロフェオ」サーキット試乗
マセラティ「グレカーレ・トロフェオ」/「グラントゥーリズモ・トロフェオ」サーキット試乗

だがそれでも、なかなかポピュラーな存在になっていかなかったのは信頼性の問題がついて回っていたからだろう。当時は取材で借り出しても、2~3日のうちにはどこかが壊れてしまうほどだった。当時のマセラティは相当な覚悟がないと飛び込めない、そんな特別な世界の住人だったのである。

そんな昔のネガティブな話から書きはじめてしまったのは「あのマセラティがいまや!」という感慨深さからである。今回の試乗会では話題のプレチャンバーを備えたマセラティ自製のV6エンジン、ネットゥーノを搭載したモデルをサーキットで試乗できるという。

現在のマセラティはクロスオーバーSUVのグレカーレやレヴァンテ、4ドアセダンのギブリクアトロポルテ、そしてグラントゥーリズモやMC20まで幅広いラインナップが揃っており、試乗できる機会も格段に増えている。

それでも公道をゆったりと走らせたことばかりだったことに最近気がついた。ブランド力とポテンシャルが飛躍的に高まった現行のマセラティは飛ばすとどうなのか? 大いに気になるところだったのである。

グレカーレ、意外なほどシャシーファスター

今回、袖ケ浦フォレストレースウェイで開催された試乗会は、サーキット走行とは言ってもヘルメットをかぶって全開でラップを刻むようなスタイルではない。

先導車がペースをコントロールしつつ周回し、公道より少し上のスピードレベルで走りを試す。

マセラティ「グレカーレ・トロフェオ」/「グラントゥーリズモ・トロフェオ」サーキット試乗
マセラティ「グレカーレ・トロフェオ」/「グラントゥーリズモ・トロフェオ」サーキット試乗

といってもひとつのコーナーでスキール音を上げ、軽くアンダーオーバーを試すくらいの走りもできなくはなかった。最初に乗り込んだのはグレカーレ・トロフェオである。

ネットゥーノはモデルごとにスペックが異なっており、グレカーレのそれは530ps版。ちなみにグラントゥーリズモの場合、モデナが490ps、トロフェオは550psとなる。

ステアリング上のダイヤルで走行モードをスポーツにしてダンパーを引き締め、全開でピットアウト。今回主役のネットゥーノは、グレカーレの場合は黒子に徹しているように感じた。おそらくピークパワーを抑えたかわりに中間トルクを太らせているのだろう。

エンジンより目立っていたのはエアスプリングのアシ捌きや駆動系の所作だった。高速コーナーで思い切り旋回Gをかけても倒れ込むような感じは皆無。駆動系も強力なデフロックが効いている後輪だけで積極的にかいている感じ。

2トンを超える車重なのに、その走りは素直なFRスポーツカーのよう。それでいて低速コーナーからの立ち上がりでリアが暴れそうになると、微かに前輪が引っ張ってくれてオンザレールに戻る一連の動きは、最新の賢いAWDモデルならでは。背の高いボディに騙されてはいけないのである。

記事に関わった人々

  • 執筆

    吉田拓生

    Takuo Yoshida

    1972年生まれ。編集部員を経てモータリングライターとして独立。新旧あらゆるクルマの評価が得意。MGBとMGミジェット(レーシング)が趣味車。BMW 318iコンパクト(E46)/メルセデスBクラスがアシグルマ。森に棲み、畑を耕し蜜蜂の世話をし、薪を割るカントリーライフの実践者でもあるため、農道のポルシェ(スバル・サンバー・トラック)を溺愛。
  • 撮影

    小川和美

    Kazuyoshi Ogawa

    1986年生まれ。クルマ好きの父親のDNAをしっかり受け継ぎ、トミカ/ミニ四駆/プラモデルと男の子の好きなモノにどっぷり浸かった幼少期を過ごす。成人後、往年の自動車写真家の作品に感銘を受け、フォトグラファーのキャリアをスタート。個人のSNSで発信していたアートワークがAUTOCAR編集部との出会いとなり、その2日後には自動車メディア初仕事となった。
  • 編集

    AUTOCAR JAPAN

    Autocar Japan

    世界最古の自動車雑誌「Autocar」(1895年創刊)の日本版。

関連テーマ

おすすめ記事

 

マセラティの人気画像