「ゲレンデ」にも電気の時代が来た! メルセデス・ベンツGクラス G 580へ試乗 破壊的に速い4モーター

公開 : 2024.05.16 19:05

伝統のオフローダー、GクラスにEV版が登場 最大トルク118.5kg-mの破壊的に速いクワッドモーター 見た目は内燃エンジン版とほぼ同じ 悪路性能はより優れる 英国編集部が評価

内燃エンジン版とほぼ同じデザイン

電気で走るメルセデス・ベンツGクラスが、ついに誕生した。内燃エンジン版と併売されるが、同社は多くのユーザーに選んで欲しいと考えている。

メルセデスAMGのG 63より、トルクは太い。走行中の車内は静か。しかも、悪路性能で勝る。英国価格は、BMW iXと同等が見込まれる。半世紀前と大きく違わないスタイリングを持つ、有能な電動オフローダーだ。

メルセデス・ベンツ Gクラス G 580 EQテクノロジー(欧州仕様)
メルセデス・ベンツ Gクラス G 580 EQテクノロジー(欧州仕様)

見た目から、内燃エンジン版と見分けるのは難しい。僅かに膨らみを増したボンネットと、プラスティック製のトリムが付いたフロントピラー、マフラーカッターがないことくらいの差しかない。

リアのホイールアーチには、空気抵抗を改善するエアカーテンという機能を実装。車内のノイズを低減させる効果もあるという。

ピラー部分には、ドアを閉めやすくするため、通常より大きい通気口が設けられた。それでもしっかり閉めるには、強めに引っ張る必要がある。テールゲートの丸いケースにはスペアタイヤが入っておらず、充電ケーブルを収納できる。

シャシーは、従来どおりのラダーフレーム。駆動用バッテリーは、左右のシャシーレールの間に載る。冷却システムも同様だ。

電動化に当たり、3本のシャシー・クロスブレースが取り除かれ、バッテリーケースが剛性を担っている。悪路を想定し、カーボンコンポジット素材のプレートで、保護されてもいる。このプレートはボルトで固定され、交換作業は簡単だという。

高い着座位置に起き気味の運転姿勢

インテリアも、ほぼそのままGクラス。ハッチバックを見下ろすような高い着座位置や、背筋を伸ばした運転姿勢は変わらない。

全長を考えると、車内空間は限定的。リアシートは、身長の高い大人には若干窮屈だろう。バックミラーをのぞくと、円形の充電ケーブルケースが良く見える。

メルセデス・ベンツ Gクラス G 580 EQテクノロジー(欧州仕様)
メルセデス・ベンツ Gクラス G 580 EQテクノロジー(欧州仕様)

ダッシュボード上のモニターは、12.3インチの2画面。メーター用と、インフォテイメント用で構成され、メルセデス・ベンツのMBUXシステムが稼働する。グラフィックは高精細で、動きは滑らかだ。

ただし、音声アシスタントは仕事熱心すぎる様子。システムのボタンを押していなくても、理解できませんでした、と会話に割り込むことがあった。

エアコン用には、実際に押せるハードボタンが残されている。サイドミラーの角度は、ドアのボタンで調整できる。パワーシートとパワーウインドウのスイッチも、従来どおり。これまで当たり前だったものが、直感的で使いやすいと再確認する。

ステアリングホイール上のボタンで、アダプティブ・クルーズコントロールの調整も可能。これも便利に感じた。ただし、それ以外のボタンは筆者の手には小さすぎるかも。

荷室の容量は555L。高さ方向には余裕があるものの、奥行きがないため、荷物は縦に積むことになる。フロントのボンネット内は、電動パワートレインのシステムで埋まっており、収納空間は得られていない。

記事に関わった人々

  • 執筆

    マレー・スカリオン

    Murray Scullion

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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