ジャガーXE

公開 : 2015.06.02 17:04

パワートレイン


トップ・モデルのXE 3.0 Sには3.0ℓV6スーパーチャージャーが搭載される。。このV6ユニットは、F-タイプのエントリー・モデルにも搭載されているもので、340ps/6500rpm、25.5kg-m/3500-5000rpmのパワー、トルクを持つ。5.0ℓV8をベースに開発されたオール・アルミニウム製のこのユニットのボア×ストロークはφ84.5×89mmで、シリンダー・キャパシティは2994cc。圧縮比は10.5:1。シリンダー狭角は90°だ。これにツイン・ボルテックス・ルーツ・タイプのスーパーチャージャーがセットされるというもの。

2.0ℓ4気筒ガソリンのインジニウム・エンジンは、φ87.5×83.1mmのボア、ストロークを持つ1998ccで、これにシングル・スクロール・ターボチャージャーが組み合わせられる。2種類のチューニングがあり、XE 2.5 Portfilioは240ps/5500rpm、34.6kg-m/1750rpmのパワー、トルクを、XE 2.0 PureおよびXE 2.0 Prestigeには200ps/5500rpm、32.6kg-m/1750-4000rpmのパワー、トルクとなっている。

2.0ℓ4気筒ディーゼルのインジニウム・エンジンは、正式には発表されていないが、180ps/4000rpm、43.8kg-m/1750-2500rpmになると思われる。

トランスミッションは、XJ、XFにも搭載されているZF製の8速オートマティックがこれに組み合わせられる。8HP型と呼ばれる8速オートマティックは、このXEの搭載に合わせて約10kgの重量軽減が実現されているという。また、XE Sには完全にマニュアル・ドライビングを楽しむことのできるパドル・シフトも標準で装備される。このトランスミッションの頭脳といえる電子制御装置(ECU)は、ドライバーのドライビング・スタイルをモニターし、シフトパターンを最適化するという機能を持つ。更に、インテリジェントなコントロール・プログラムは、ドライブ・コントロールで選択されたドライブ・モードをより効率化する。このドライブ・モードは、「エコ」「ノーマル」「ウィンター」「ダイナミック」の4つのモードを備える。

駆動方式は現時点ではリア・ホイール・ドライブのみ。サスペンション・ジオメトリーなどは4WDにも対応できるとアナウンスされているが、4WDモデルについは言及されていない。

パフォーマンスは、XE 3.0 Sでは0-100km/h加速が5.1秒。トップ・スピードは電子リミッターが効く250km/hだ。CO2排出量は179g/km、燃費は10.4km/ℓという数値である。燃費は、XE 2.5 Portfolioでは12.5km/ℓ、そしてXE 2.0 各モデルでは11.8km/ℓとなる。

シャシー

オール・アルミニウム・アーキテクチャーを採用しているということは、そのシャシーも当然ながら基本はアルミニウム製となる。当然ながらジャガーはそのボディ剛性については、現行ジャガーのものでは最高であり、ライバルを凌駕するものとコメントしている。

サスペンションは、このセグメントではある種標準ともいえるフロント・マクファーソン、リア・マルチリンクというレイアウトを採用せずに、フロントがダブル・ウィッシュボーン、リアにインテグラル・リンクを採用している。このレイアウトは、コンベンショナルなマクファーソン/マルチリンクという組み合わせよりも重量が嵩むというデメリットがあるが、それでもジャガーのスポーティなDNAを持つ足まわりを表現するために敢えてこの方式を採用したのだという。また、リアのインテグラル・リンクのダンパーとコイル・スプリングは、同軸上ではなくダンパーが外側に、そしてスプリングがその内側にセットされ、ダンパーへ掛かる負担を低減しているという。

ジャガーとしては初めて電動パワー・ステアリング(EPAS)を採用したのもトピックのひとつだ。ステアリングのレスポンス、重さ、感覚は、ジャガーのDNAの中核的要素であり、「走り出して50mの印象」、つまりクルマの走り方についてそのクルマ自身が伝える極めて重要な第一印象に最も影響を与える要素と考えている、というジャガーにとって、電動パワー・ステアリングの採用は大きなニュースである。今までは、従来の油圧アシストに対し電動アシストは、チューニングの自由度とエネルギー効率において優れているものの、ジャガーのエンジニア・チームはそのテクノロジーは十分に成熟していないとごく最近まで考えていたという。しかし、制御ソフトウェアに徹底的なチューニングを施したことで、ジャガーらしいステリング・フィールが獲得できたとしている。また、フィーリングとは直接関係ないが、油圧から電動にしたことによって、CO2排出量を3%ほど向上さえることにも繋がったという。

ブレーキは、4輪ベンチレーテッド・タイプで、XE 3.0 Sではキャリパーが赤くペイントされる。

今回ジャガーとしてXEに初搭載されたメカニズムのひとつが、オール・サーフェス・プログレス・コントロール(ASPC)だ。このユニークなトラクション管理システムは、低速クルーズ・コントロールに類似したもので、全天候対応能力を高めるために導入された。これは、例えば雪に覆われた私道や凍結防止剤がまかれていない冬の道路、あるいは濡れた草地といったグリップ力が低く、滑りやすい路面で効果を発揮するもので、その技術はランドローバーからのフィードバックが大きいという。具体的には、このシステムは3.6km/hから30km/hの間でステアリング・ホイール上のクルーズ・コントロールのスイッチを押せば機能するもので、希望した速度に設定すれば、ドライバーはステアリング操作にのみ集中することができるというもの。ドライバーがペダルを一切踏まなくとも、横滑りすることなくスムーズに前進するというシステムだ。

この技術は、そのまますべてのXEに標準装備されるトルク・ベクタリング・バイ・ブレーキにも繋がる。このトルク・ベクタリング・バイ・ブレーキは、コーナリングの間、必要に応じて内側の各ホイールに軽くブレーキをかけ、アンダーステアの発生を抑えるというものだ。

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