スズキ・ソリオ / ソリオ・バンディット

公開 : 2015.08.26 22:55

パワートレイン

われわれは、モーターでアシストするものをマイルド・ハイブリッド、モーターで走れるものをストロング・ハイブリッドと呼んでいる。スズキはユーザが金銭的負担を負うことを嫌うメーカーゆえ、小型のモーターとバッテリーで構成でき、コスト面でも有利なマイルド・ハイブリッド方式を選んでいる。今回のモデルチェンジを機にソリオにもそれが採用され、燃費は27.8km/ℓというクラストップの値を達成。その中身はご存じISGとリチウムイオン・バッテリーだ。

でも、それってS-エネチャージのことじゃないの? ソリオのカタログに謳われる “マイルド・ハイブリッド” って何が違うの? そう疑問に思うワゴンRオーナーのために、いったいどこが違うのか目利きのミドルエージに扮して尋ねてみた。

「スズキでは、軽で言うS-エネチャージを、小型車ではマイルド・ハイブリッドと呼び分けています。登録車にふさわしいイメージなので」個人的には、この日一番の収穫である。

エンジンは1.2ℓの新開発K12Cデュアルジェット・エンジン。最高出力91ps、最大トルク12.0kg-mという数値に変更はないが、低回転域でのトルクを増大した。

圧縮比を12.0から12.5へ高めたり、バルブリフターを従来の直打式からローラーロッカー式に変更し抵抗を減らすなど、改善点はほかにも多数ある。

そして、ここにも歴代ソリオのボディ・サイズを維持するトピックが埋もれていた。歩行者保護を目的にエンジン傾斜角を従来の15°から5°まで起こしたにもかかわらず、エンジンの高さは31mm低くなっているのだ。幅も7mm、全長も12mmコンパクトになっている。安全性向上を理由にボディ・サイズ拡大という言い訳はスズキには通用しないのか。

シャシー&ボディ

先代ソリオのオーナーから「出足の加速が物足りない」との声が届いたと聞く。新しいソリオは新開発のプラットフォームを世界初採用したのだが、その効果を体感できる一番分かりやすい点が、ここだと考える。

100kgの軽量化を果たした新型の車両重量はクラス最軽量の930kg(G 2WD)。加えて、全グレードを1000kg未満に抑えて、納税者にやさしい車重に仕上げたのもスズキらしい。

撮影のためとうそぶき新型で一回りしてみると、クルマが動きだしてタイヤが一周しようかという辺りで、明確に力が湧く。それは前述のパワートレインの進化によるものだが、それをはっきり体感できるのに100kgの軽量化が効いている。また、最小回転半径を20cm縮めたことからも分かるように、軽自動車並にステアリングが切れるのも嬉しい。

新設計のサスペンションは前がマクファーソン・ストラット、後ろがトーションビーム式。先代を知るものにとっては、前後ともにストローク量が拡大したことによる乗り心地の改善が体感しやすい。軽量化はサスペンションにも行きわたり、リアのハブユニットについては転がり抵抗も低減した。

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