ポルシェ新デザイナーが語る「流行に左右されない魅力」 次期911も伝統を受け継ぐ レトロではなく過去への深い敬意

公開 : 2026.10.20 07:45

今年ポルシェのデザイン責任者に就任したトビアス・ズールマン氏が今後の展望を語りました。『ミッションS』で示されたように、次世代モデルでも流行に流されることなく、ブランドの伝統を受け継いでいくとのこと。

一目でポルシェと認識できるように

ポルシェが先日発表した『ミッションS』は、『911』の上位に位置づけられるミドシップのフラッグシップモデルを予告するコンセプトカーだ。同時に、トビアス・ズールマン氏率いる今後のデザインの方向性を初めて示すモデルでもある。

46歳のズールマン氏は、以前マクラーレンのデザイン責任者を務めていた人物で、今年2月にポルシェに入社した。現在、新CEOのマイケル・ライターズ氏からポルシェの新たな方向性を打ち出す任務を託されている。

ポルシェ・ミッションSとトビアス・ズールマン氏
ポルシェ・ミッションSとトビアス・ズールマン氏    ポルシェ

マクラーレン時代と同様、ズールマン氏がポルシェで最初に取り組んだのは、ブランドの歴史を深く掘り下げ、活用すべき重要な要素を探ることだった。したがって、デザインに革命的な変化を期待してはいけない。ライターズCEOが述べたように、「ポルシェは一目でポルシェと認識できなければならない」からだ。

そうした要素はミッションSに現れているが、これは単なるデザインスタディではない。ポルシェは実際に、911の上位に位置する新型ミドシップ・スーパーカーのプラットフォーム開発を進めているのだ。

クラシックモデルへのオマージュも

ミッションSのエクステリアは「純粋」なデザインに重点を置いており、魚雷型フェンダー、寝かせたルーフライン、そして将来のスポーツカーにも採用されるであろう幅と高さの比率が特徴だ。ズールマン氏はスポーツカー、SUV、セダンを3人のアスリートに例え、共通要素はそれぞれ異なる形で表現されると述べている。インテリアはドライバー中心に構成され、タッチスクリーンはほとんど見当たらない。

また、『911 GT1』、『カレラGT』、『550スパイダー』、『356』、『917』、『928』といったクラシックポルシェへのオマージュが随所に散りばめられており、ズールマン氏が同社のルーツを捨てるつもりはないことを示している。一部の他社モデルのような、あからさまなレトロデザインではないが、すべてが過去への深い敬意を持って作り上げられている。

ポルシェ・ミッションS
ポルシェ・ミッションS    ポルシェ

AUTOCARは、ミッションSの発表に先立ち、ズールマン氏に単独インタビューを行い、このクルマがポルシェの未来にとってどのような意味を持つのか、その内情を掘り下げた。以下、ズールマン氏とのQ&Aとなる。

「違い」を出すためのデザインではない

――ミッションSはあなたにとって初めてのポルシェですが、カレラGTや918の要素も取り入れられていますね。

「まさにそこがポイントです。わたし達はブランドに忠実であり、伝統にも忠実です。伝統を否定しているわけではなく、その上に築き上げているのです。ポルシェはレースから生まれたブランドであり、世界中のどこかでレースが行われるたびに学び、それを市販車に反映させています」

ポルシェ・ミッションS
ポルシェ・ミッションS    ポルシェ

「そこには循環があり、連続性を示すことが重要です。変化の激しい世界において、ポルシェは本物で、一貫性があり、時代を超越したことを行うブランドであり、10年や20年経っても『かっこいいクルマだ』と思わせるようなタイムレスな製品を作り続けています」

「928を見ると、わたしが愛するタイムレスな要素が数多くあります。これこそが、わたし達が作り出すべきものです。自動車デザインにおいて、美しいということは非常に重要です。なぜ、わたし達は美しいクルマを作れなくなったのでしょうか? ただ違いを出すためだけに、違うものになっているように思えます。ポルシェは、感情と情熱が込もった美しいクルマ、思わず触れたくなる、運転したくなるようなクルマを作りたい」

記事に関わった人々

  • 執筆

    ジェームス・アトウッド

    James Attwood

    役職:雑誌副編集長
    英国で毎週発行される印刷版の副編集長。自動車業界およびモータースポーツのジャーナリストとして20年以上の経験を持つ。2024年9月より現職に就き、業界の大物たちへのインタビューを定期的に行う一方、AUTOCARの特集記事や新セクションの指揮を執っている。特にモータースポーツに造詣が深く、クラブラリーからトップレベルの国際イベントまで、ありとあらゆるレースをカバーする。これまで運転した中で最高のクルマは、人生初の愛車でもあるプジョー206 1.4 GL。最近ではポルシェ・タイカンが印象に残った。
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    1992年生まれ。幼少期から乗り物好き。不動産営業や記事制作代行といった職を経て、フリーランスとして記事を書くことに。2台のバイクとちょっとした模型、おもちゃ、ぬいぐるみに囲まれて生活している。出掛けるときに本は手放せず、毎日ゲームをしないと寝付きが悪い。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。仕事では「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。

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