なぜポルシェはEVコストに悩まされているのか サプライヤーへの補償が大きな負担に? 次世代モデルで改善へ
公開 : 2026.10.20 07:25
ポルシェは当初のEV販売台数の見通しが楽観的であったこともあり、他社よりも生産コストの高騰に悩まされています。求められるサプライヤーへの補償金額は「相当な額」になるだろうと財務責任者は語っています。
他社以上のコスト高、収益を圧迫
2020年代の初めにポルシェが立てたEV販売台数に関する予測は楽観的であったため、現在販売しているEVの生産コストを平均以上に押し上げ、収益性を圧迫している。
ボルボなど一部のメーカーは、最新のEVが内燃機関搭載モデルと同等、あるいはそれ以上の収益性を達成していると述べているが、ポルシェは、同じ目標を達成するには次の世代のEVを待つ必要があるとしている。

それでも、SUV『カイエン・エレクトリック』などのEVを内燃機関モデルと同程度の価格に設定しなければ、競合他社に後れを取ることになる。
「EVには価格プレミアム(顧客が “高くてもいい” と考えるような価格の上乗せ分)がなく、一方で部品原価は依然として非常に高い」と、ポルシェの財務責任者であるヨッヘン・ブレックナー氏は先日開催されたキャピタル・マーケット・デーでアナリストたちに語った。
バッテリー価格は低下しつつある。つまり、2020年代の早い段階でバッテリーコストを固定したポルシェのような自動車メーカーは、他のメーカーよりも高いコストを支払わなければならないことになる。そして、当初の楽観的な見通しが重なり、状況はさらに悪化している。
「IPO当時、旧戦略に基づいて予想していた高い販売台数に比べ、現在はかなり低い水準にとどまっています」とブレックナー氏は述べた。
見通しの甘さが部品価格に響く
販売台数の予測は、サプライヤーへの部品価格設定の根拠となるため、極めて重要だ。規模の経済(スケールメリット)により、販売台数が増えれば増えるほど、単価は下がる。
2022年のIPO(新規株式公開)の際、ポルシェは2025年までに販売台数の50%がEVとなり、2030年までに80%に達すると予測していた。米国における排出ガス規制の緩和から、消費者の購入意欲の低迷に至るまでさまざまな要因が重なり、その目標には程遠く、2025年のEVの割合は総販売台数の22%にとどまった。今年上半期には19%まで低下している。

中国をはじめとする全体的な販売不振と相まって、『マカン・エレクトリック』、『タイカン』、『カイエン・エレクトリック』の販売台数は当初の予測を大きく下回っている。
こうした状況下で、サプライヤー各社はポルシェの市場予測の誤りに対して責任を負う用意はなく、補償を求めている。「これらの補償金は相当な額になるでしょう」とブレックナー氏はアナリストたちに語った。
大型電動SUVのように、計画していた新モデルの開発を打ち切る場合とは異なり、これらの支払いは単発的なものではない。
「サプライヤーから調達する各種部品の価格が高くなるという形で影響が出ます。これらの車両のライフサイクルが終わるまで、BEV用部材の価格上昇に直面し続けることになります」とブレックナー氏は述べた。
決算報告によると、ポルシェは昨年、サプライヤーからの請求に対応するため3億9300万ユーロ(約700億円)を計上したが、その詳しい請求内容については明示していない。



















































