【ドライバーズカーの模範解答】BMW 2002と3.0 CSL 本質を映すクーペ 後編

公開 : 2021.02.20 17:45

BMW Mが本格的な活動を始める以前から、素晴らしいドライバーズカーとして完成されていた2002と3.0 CSL。今回は当時の象徴ともいえる2台をご紹介します。

もくじ

クルマと対話するように運転できる
凛々しく2002との近さも感じる3.0 CSL
美しいと感じるほどにスムーズな6気筒
1970年代初頭のクリエイティブな時期
BMW 3.0 CSLと2002 2台のスペック

クルマと対話するように運転できる

text:Martin Buckley(マーティン・バックリー)
photo:Luc Lacey(リュク・レーシー)
translation:Kenji Nakajima(中嶋健治)

 
BMW 20002の運転席からは、どの方向へも視界に優れる。作りの良いシートに、スッキリとした造形のダッシュボードが心地いい。不必要な情報も、過度な機能もここにはない。

細身のリムのステアリングホイールは、今の感覚では大きい。位置も高い。でも、3つのペダルとシフトノブの位置関係は良好。2002らしく、元気に運転させたくなる。

白のBMW 3.0 CSLとオレンジのBMW 2002
白のBMW 3.0 CSLとオレンジのBMW 2002

フロントヒンジのボンネットを開くと、美しく整えられたエンジンが柔らかいマウントの上で静かに脈動している。しかし運転席に座っていると、とても静か。聞き惚れるサウンドというより効率重視的なノイズで、中回転域のトルクは太い。

アクセルペダルを踏み込む。最後の2.5cmくらいから、ソレックスキャブレターの2番目の給気口が開く。6000rpmまで吹け上がり、痛快なパンチ力を引き出せる。

穏やかにスタートさせれば、文化的にも走れる。滑らかに加速し、理想的なレシオのMTは操作感も気持いい。3速でも4速でもアクセルペダルを踏み込めば、変速の必要なくボディを引っ張れる。

正確なステアリングは、軽すぎるわけでも、クイックすぎるわけでもない。アシストも必要ない。タイヤは当時物のミシュランXAS。アンチロールバーが、ボディの動きをしっかり制御してくれる。

小さな2002はニュートラルにコーナリングし、しなやかなサスペンションが路面の乱れを柔らかくなだめてくれる。それでいて、乗り心地にはコシがある。クルマと対話するように運転でき、楽しくて仕方ない。

凛々しく2002との近さも感じる3.0 CSL

BMW 2002を運転すれば、気持ちが高まる。どんな道でも、心を満たしてくれる。

それはBMW 3.0 CSLでも共通する体験だが、そこへ優雅さや希少性、わずかな量のアクセサリーが追加されている。今となっては、2002より10万ポンド(1400万円)以上も高い値段が付いている。

BMW 3.0 CSL(1971〜1974年)
BMW 3.0 CSL(1971〜1974年)

今回の3.0 CSLは、500台作られた右ハンドル車。近年6万ポンド(840万円)相当のレストアを受けており、走行距離も短い。2002と同じヘアピン・カンパニー社が所有している。

美しいE9型クーペのボディは主にスチール製で、製造はドイツのカルマン社。このクルマには、シティ・パッケージが装備されている。パワーステアリングにパワーウインドウ、専用のバンパーなどが追加され、新車時はショールームでの販売力を高めた。

だが、当時のホモロゲーション・モデルの多くがそうだったように、販売は不調だった。変形しやすいアルミニウム製のボンネットにドア、トランクリッドを備え、身体を固定するシェール社製のバケットシートが付いている。万人受けはしない内容だった。

いま、改めて路上に佇む完璧な3.0 CSLを眺めると、とても凛々しい。それと同時に、2002と近い雰囲気も持ち合わせていることに驚く。

ドライブトレインはとても滑らかで、柔軟性に富む。360度視界に優れ、運転に関わる操作系の重み付けも、すべてが適正。クラッチの重さと戦ったり、ステアリングが無感覚になったり、ということはない。

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