【バンパーでデザイン台無し】カウンタック、ミニ、MGB 5マイル・バンパーに泣いた8台

公開 : 2021.04.03 07:05

先日ご紹介したMGミジェット以外にも、アメリカの規定によるバンパーに悩まされたクルマは沢山ありました。英国編集部がその一部をご紹介します。

もくじ

味わい深い5マイル・バンパー
ランボルギーニ・カウンタック 無骨な黒い塊
マセラティ・カムシン ガンディーニの嘆き
ジャガーEタイプ 意見の分かれるシリーズ3
BMW 2002 254mmも伸びた全長
フィアット124 スポーツ・スパイダー 鈍る輝き
BMCミニ BMWミニへ影響か
ランボルギーニ・エスパーダ 通称シリーズ4
MGB 違和感はほかより小さい

味わい深い5マイル・バンパー

text:Richard Heseltine(リチャード・ヘーゼルタイン)
translation:Kenji Nakajima(中嶋健治)

 
過去には、クルマのスタイリングがないがしろにされた10年間が存在した。デザインは個人で感じ方も様々だと思う。だが少なくとも1970年代は、多くのクルマにとって美しくあることが難しい時代だった。

1971年、アメリカの運輸省道路交通安全局は連邦自動車安全基準215条を発表した。安全といわれると、聞こえは悪くない。

BMW 2002(北米仕様)
BMW 2002(北米仕様)

その実態は、アメリカで売られる1972年9月1日以降のすべての新車は、フロント側で8km/h、リア側で4km/hの衝突に耐える必要があると決めたものだった。ヘッドライトやテールライトなどすべての灯火類と、給油装置に損傷を与えることなく。

AUTOCARの読者なら、5マイル・バンパーという言葉を聞いたこともあるだろう。自動車メーカー側は、基準提案に対して目立ったロビー活動を行うこともなく、反対を表明した程度だったという。

結果としてアメリカ議会は反対意見に耳を貸さず、美しいスタイリングでも見苦しい変更を余儀なくされた。デザインと調和しない、後付けの安全バンパーのために。

1970年代初頭は、厳しい排出規制も施行され、エンジンの馬力が急激にダウンした時期とも重なる。クルマの魅力が大きく減じられたことは、想像に難くない。

今でも素晴らしいと思える時代ではなかったが、味わい深い思い出として振り返ることはできる。5マイル・バンパーに翻弄されたモデルたちを、何台かご紹介してみよう。

ランボルギーニ・カウンタック 無骨な黒い塊

スーパーカーの代名詞、カウンタックは登場から時間を経るとともに何度かスタイル変更を受けている。だがこの黒いバンパーを身に着けた姿を、ご存じの読者はいるだろうか。

当初、北米市場はランボルギーニのターゲットではなかった。しかし、並行輸入という形で多くのカウンタックが上陸。フロントバンパーの高さなど、アメリカの運輸省道路交通安全局が定める多くの規定に合致していなかった。

ランボルギーニ・カウンタック(北米仕様)
ランボルギーニ・カウンタック(北米仕様)

ボンネットの上に大きなスポイラーを載せるなど、アメリカではカウンタックの派手な改造もおこなわれた。だが、ランボルギーニ自らが追加したバンパーの酷さは、下手な改造を上回るほどだと思う。

マセラティ・カムシン ガンディーニの嘆き

カーデザイナーのマルチェロ・ガンディーニの気持ちは、理解できるだろうか。先出のとおり、ランボルギーニ・カウンタックなど、自身の手掛けたモデルも無事ではなかった。

特に声を荒げたのは、マセラティ・カムシンのリアエンドだったようだ。ガンディーニもスタジオのチーフを担っていたヌッチオ・ベルトーネも、除外されるように請願したものの、認められることはなかった。

マセラティ・カムシン(北米仕様)
マセラティ・カムシン(北米仕様)

北米基準に合わされたカムシンからは、リアのガラスパネルにレイアウトされたフローティング・ライトが外された。後方視界のためにガラスは残ったが、テールライトはボディ部分へ移動している。派手に突出したリアバンパーが、それを守った。

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