【ハンドリング輝くワゴン】プジョー508 PSE SW ハイブリッド4へ試乗 1.6LのPHEV 後編

公開 : 2021.04.30 08:25  更新 : 2021.07.27 14:50

電動化技術の推進に焦点を当てたプジョーのサブブランド、プジョースポール・エンジニアード。その先鋒に立つのがPHEVの508です。英国編集部が評価しました。

プジョー流iコクピットにスポーツシート

text:Richard Lane(リチャード・レーン)
translation:Kenji Nakajima(中嶋健治)

プジョー508 PSEのフェンダーに、ピタリと収まるホイールは20インチ。社外パーツでスタンスを決めた容姿にすら見える。

アンチロールバーも太さを増し、新開発のアダプティブ・ダンパーも搭載。ブレーキはアルコン社製だ。電動パワーステアリングの設定も調整を受けている。

プジョー508 PSE SW ハイブリッド4(英国仕様)
プジョー508 PSE SW ハイブリッド4(英国仕様)

これらが組み合わさり、従来の508との違いは瞭然。クルマ全体のマナーとして正確性が高まり、手応えが増している。プジョーの大型モデルでこんな体験が得られるとは、うれしいばかり。

インテリアは快適で、デザインは新鮮。PSE専用の変更を各所に受け、サイドサポートの高いスポーツシートが低い位置に搭載されている。車内の雰囲気が、効果的に高められている。

気にならざるを得ないのが、プジョー流のiコクピット。華奢なステアリングホイールが低い位置に付き、リムの上辺からモニター式のメーターパネルを見る格好になる。

着座位置の高いコンパクトカーやSUVなら機能的でも、低く座りたいモデルでは都合を付けにくい。身長185cmの筆者の場合、普通に座るとメーターが隠れて見えず、安全面でも快適さでも疑問を抱いてしまう。

ドライブモードは、エレクトリックとコンフォート、ハイブリッド、スポーツの4種類が選べる。切り替えは、センターコンソールのトグルスイッチだ。

エレクトリック・モードはその名のとおり、バッテリーが許す限り電気モーターで走る。回生ブレーキはさほど強力には効かないものの、純EVとして静かに運転できる。基本的にはリアモーターが主役で、穏やかながら反応は良い。

流れの速い道で光るPSEチューニング

バッテリーの電気が不足するか、ほかのモードを選ぶと、必要に応じてエンジンが始動。この4気筒ユニットは、英国価格5万5795ポンド(836万円)のものとしては荒々しく単調に思える。

低速域では、電気モーターと4気筒エンジンのどちらを用いるか、悩む場面もある様子。主役交代がシームレスではない時もある。

市街地の速度域では、ツギハギなどで少し落ち着きの足りない乗り心地になることも。20インチのホイールと、50%もレートの高いスプリングの影響だろう。ただし気に触るほどではなく、速度域が上がれば驚くほどスムーズに変化する。

流れの速い郊外の道を走らせれば、PSEチューニングのメリットが光ってくる。スポーツ・モードを選びアクセルペダルを踏み込むと、真っ先に電気モーターがクルマを押し進め、8速ATがキックダウン。驚くほどではないものの、充分速い。

プジョーの質感にはよく合うのだが、ATの変速は不明瞭でシングルスピードの駆動系のようにも感じる。積極的に運転しても反応がシャープとはいえず、シフトパドルで自ら段数を選ぼうとは思いにくい。意欲的にエンジンの回転数を高めたくもならない。

電気モーターが上手に中継ぎを果たし、滑らかなことは確かだ。

このクラスのステーションワゴンで、最速モデルではない。だが、508 PSEはドライバーが望んだ時に、しっかり加速してくれる。実際の道路環境の速度域なら、優秀なシステムに感じられると思う。

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