気持ちをくすぐるやり過ぎ感 プジョー508 PSEへ試乗 360psのプラグインHV

公開 : 2023.07.10 08:25

プジョー508の高性能仕様、PSEがモデル中期のフェイスリフト。魅力的ながら、強気な価格が悩ましいと英国編集部は評価します。

最新の流れに沿った視覚的アップデート

プジョー508のハイパフォーマンス仕様、PSE(プジョー・スポーツ・エンジニアード)がフェイスリフトを受けた。変更された部分は、スタイリングやインテリアが中心。パワフルなプラグイン・ハイブリッドに、改良は受けていない。

最近のプジョーはデザインの方向性を大きく変え、一気にブランド・イメージを向上させている。2018年に登場した508にも、最新の流れに沿ったアップデートが必要になっていた。

プジョー508 PSE(欧州仕様)
プジョー508 PSE(欧州仕様)

見た目では、縦に3本並ぶデイライトがフロントの両サイドへ与えられたことが、わかりやすい変化だろう。ヘッドライトはスリムになり、グロスブラックのフロントグリルで凄みを効かせている。

アグレッシブさを増したぶん、高級感は薄れたかもしれないが、印象的な容姿なことに変わりはない。滑らかにルーフラインが伸びる、ステーションワゴンの508 SW SEでは、さらに視覚的な訴求力がある。

今回のフェイスリフトで最大のトピックといえるのは、10.0インチのタッチモニターを獲得したインテリア。インフォテインメント・システムも一新され、メニューレイアウトがわかりやすくなり、グラフィックは高精細になっている。

クルマ好きの気持ちをくすぐるやり過ぎ感

パワーユニットは、1.6Lの4気筒ガソリン・ターボエンジンと、2基の駆動用モーターという組み合わせで、これは従来どおり。フロントアクスル側の駆動用モーターは、8速ATに内蔵されており、エンジンと協働して前輪を動かす。

リアアクスル側のモーターはフロント側と独立し、リダクションギアを介して後輪を動かす。システム合計での最高出力は360psとなり、0-100km/h加速を5.2秒でこなす。フォルクスワーゲンアルテオンなどのハイブリッドより、確実に速い。

プジョー508 PSE(欧州仕様)
プジョー508 PSE(欧州仕様)

実際に一般道を走らせてみると、508 PSEは明らかに積極的。豊かなパワーとトルクを常に発揮したいと、クルマが訴えているようにすら感じられる。

もちろんフランス車らしく、普段の市街地の運転は快適。サスペンションは巧みに衝撃を吸収し、フラットな姿勢を維持し、滑らかなステアリングで508のボディを導ける。1日中リラックスしたまま、疲れ知らずで運転できそうにすら思える。

とはいえ、秘めたエネルギッシュさを常時滲ませる。しっかり訓練を受けた、活発な大型犬のように。条件が許されれば、溢れんばかりのパワーを放てる。一般的なプラグイン・ハイブリッドのサルーンとはまったく異なる、痛快さを堪能できる。

BMW 330eのような、洗練され繊細な操縦性を備えるわけではない。だが、少し気難しいようなフィーリングが、クルマ好きの気持ちをくすぐるはず。フォード・フォーカス RSや日産GT-Rにも似た、やり過ぎ感を嫌いにはなりにくい。

記事に関わった人々

  • 執筆

    ヴィッキー・パロット

    Vicky Parrott

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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