【自分だけの特別なSTに】フォード・フォーカスST エディションへ試乗 KWサス獲得

公開 : 2021.10.03 08:25  更新 : 2021.10.12 16:21

調整式コイルオーバー・サスを獲得したフォード・フォーカスST。シャシー性能を一層磨いたホットハッチを、英国編集部が評価しました。

アズール・ブルーのボディにブラックトリム

執筆:Matt Saunders(マット・ソーンダース)
翻訳:Kenji Nakajima(中嶋健治)

 
世界の自動車メーカーのモデル・ラインナップに詳しい方なら、英国フォードが最近になって、多くのモデルへエディションという名称を追加していることにお気付きかもしれない。改訂した、という意味合いを持たせたいのだろう。

ただし、もし筆者が特別なフォード・フォーカスSTを作り上げたのなら、ST エディションとは違う呼び方を考えるとは思う。先日まで、唯一エディションを名乗っていなかったフォーカスSTだったから、取り残された感は消えたのだが。

フォード・フォーカスST エディション(英国仕様)
フォード・フォーカスST エディション(英国仕様)

ストライプやステッカーを追加して、新しい感じを演出したわけではない。ボディ色はアズール・ブルーの1択で、ブラックのルーフとホイール、スポイラーとミラーカバーで着飾った5ドアのハッチバックだが、それ以上の中身を得ている。

4気筒のガソリン・ターボエンジンやドライブトレインは、従来のフォーカスSTと同じ。快適装備は全部乗せといった感じで、ハーフレザーの内装に、ボディとコーディネートされたブルーのステッチが施されている。

さらにフォーカスST エディションで最も触れるべきは、KWオートモーティブ社製の手動調整式ツインチューブ・ダンパーの獲得だろう。フォーカスSTのパフォーマンス・パックに装備されるアダプティブ・ダンパーは、交代となった。

コイルスプリングには粉体塗装が施され、通常のSTより50%もスプリングレートが高められている。フローフォーミング加工による軽量な19インチ・アルミホイールが、とても凛々しい。

手動調整式のサスペンションを装備

手頃なホットハッチに調整式サスペンションを組んでも、さほど効果的な結果は得られないと考える方もいらっしゃるだろう。AMGやBMW Mモデル、ポルシェなどのサーキット前提モデルとは違って。

概して、その意見は正しい。フォードのRSシリーズにも当てはまる。だが今回の例は少し違う。

フォード・フォーカスST エディション(英国仕様)
フォード・フォーカスST エディション(英国仕様)

新しいKW社製のコイルオーバー・サスペンションで、車高は10mm低い。フェンダーアーチをきれいに埋める新ホイールのおかげで、バネ下重量は10%軽くなっている。

筆者は黒いボディトリムがあまり好きではないものの、ST エディションのルーフとミラーカバーは悪くない。黒く塗られたSTのエンブレムも、鮮やかなボディカラーに映えてカッコイイ。

テールゲートを開くと、車高を最大20mmの幅で調整できるツールキットが載っている。ダンパーは、収縮で12段階、伸張で16段階から選べる。車高はホイールを外さないと調整できない。リアの減衰力調整は、荷室の内装パネルを外す必要がある。

自宅のガレージで試す前に、ディーラーからアドバイスを聞いた方が良いだろう。作業に必要な時間は、前後合わせて数時間は必要そうだ。マニュアルには工場出荷時の標準設定が記されていない。変更前に、印やメモを付けるのもお忘れなく。

ST エディションは通常のSTと同じホイール・オフセットが与えられ、アクティブLSDも装備されている。郊外の一般道を走らせてみると、マナーは思いのほかマイルド。路面のキャンバーやワダチにステアリングが取られることもない。

記事に関わった人々

  • 執筆

    マット・ソーンダース

    Matt Saunders

    英国編集部ロードテスト・エディター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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