【新フラグシップSUV】BMW iX xドライブ50へ試乗 総合523ps 新基準の洗練性 前編

公開 : 2021.10.08 08:25  更新 : 2021.10.11 17:46

洗練され快適でありながら、運動神経に長けた純EV大型SUVのiX。BMWの新世代フラッグシップ・モデルを、英国編集部が評価しました。

内燃エンジン車から電気自動車への分水嶺

執筆:Greg Kable(グレッグ・ケーブル)
翻訳:Kenji Nakajima(中嶋健治)

 
筆者はBMW iXを運転できる日を待ちわびていた。オリジナルが発表されたのは、2018年のパリ・モーターショー。ビジョン iネクストというコンセプトカーだった。

iXは、BMWとしてはi3とiX3に続く3番目の純EV。個性的なデザインをまとう大型SUVの導入が、内燃エンジン車から電気自動車へ移行する、いわゆる分水嶺になると考えているようだ。

BMW iX xドライブ50 スポーツ(欧州仕様)
BMW iX xドライブ50 スポーツ(欧州仕様)

この開発教訓を踏まえて、まもなく登場する3シリーズ・クラスのi4や、5シリーズと7シリーズに相当する純EVモデルが展開される。BMWの節目を迎えることになる。

iXは、新次元のリラックスしたドライビング体験を提供することが目指されている。同時に、330psを発揮するxドライブ40から、600馬力以上と噂されるM 60に至るまで、BMWとして動力性能の幅も重視されている。

モデル名はiXで、数字が続かないことに違和感を覚えるかもしれない。これはBMWが純EVに設定したサブブランド、iのSUVとして、フラッグシップ・モデルに据えられることを意味するという。

コンセプトカーのビジョン iネクストがまとっていた前衛的なボディラインは、量産化に伴い大人しくなった印象を受ける。それでも、過去に例を見ないほど新鮮なBMWであることは、否定できない。

全体的なプロポーションは、SUVのX5に近い。ボディ表面は遥かに滑らかに仕上げられ、凹凸は最小限。エッジも丸みを帯びている。

未来的デザインにクラス最高水準のCd値

BMWの顔ともいえるキドニーグリルは巨大だが、パネル状になっており、空気を吸い込むことはなくなった。多くのセンサーが背後に埋め込まれ、運転支援システムの目のような役割を担う。

横にスリムなヘッドライトは最新式のLED。オプションでレーザーライトを指定することもできる。BMWのSUVとしては初めて、ドアのガラス部分はフレームレスに。ドアハンドルも電子システムを採用し、出っ張りはなくなっている。

BMW iX xドライブ50 スポーツ(欧州仕様)
BMW iX xドライブ50 スポーツ(欧州仕様)

ポリゴンのように面が切り替わるフェンダーラインは、コンセプトカーから受け継がれた処理。印象的なサイドビューを作る要素の1つだ。

リア周りは、ボディサイドまで回り込んだテールゲートが特徴。ワイドな見た目を強調するため、LEDのテールライトがゲート幅一杯に伸びている。未来的といって良い。

試乗車が履いていたホイールは22インチ。スポーティな275/40という扁平タイヤが組まれ、凛々しい佇まいを生んでいる。銘柄はブリヂストン・アレンザだった。

iXのボディサイスは全長4953mm、全幅1967mm、全高1695mmというもの。現行のX5と比較すると15mm長く、37mm狭く、53mm低い。ホイールベースは28mm長い。

滑らかなボディデザインに加えて、ボンネットは固定式で隙間はタイト。アンダーボディもフラットで、ホイールも空力特性に配慮されている。その結果、標準の20インチ・ホイールを履くiXの場合、空気抵抗を示すCd値は0.25でクラス最高水準だという。

記事に関わった人々

  • 執筆

    グレッグ・ケーブル

    Greg Kable

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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