【新フラグシップSUV】BMW iX xドライブ50へ試乗 総合523ps 新基準の洗練性 前編

公開 : 2021.10.08 08:25  更新 : 2021.10.11 17:46

システム総合で523psと77.8kg-m

iXの骨格をなすのはCLARプラットフォームの改良版。軽量なインナーボディ、カーボンファイバー・ケージ構造と組み合わされている。コンポジット素材のボディパネルを支え、従来のBMWより高剛性を実現させた。

駆動用モーターは前後に1基づつ搭載し、固定レシオのトランスミッションを介して四輪を駆動。エフィシエンシーとスポーツという2段階のドライブモードが用意され、前後の駆動力の割合を変更できる。

BMW iX xドライブ50 スポーツ(欧州仕様)
BMW iX xドライブ50 スポーツ(欧州仕様)

試乗車のグレードはxドライブ50で、車重は2510kg。ガソリンエンジンを搭載するX5 xドライブ40iと比べると、475kgも重い。

フロントモーターは最高出力257ps、最大トルク37.1kg-mを発揮し、リアモーターは313psと40.7kg-mで少し強力。システム総合での最高出力は523ps、最大トルクは77.8kg-mとなる。

EVシステムは電圧380Vで動作する。駆動用リチウムイオン・バッテリーの容量は105.2kWhと巨大。フロアとセンタートンネル内に分割して組み込まれ、航続距離は548kmから630kmを実現した。

試乗では、普通に運転して480km以上は余裕で走れることを確かめている。

インテリアデザインも、新しい方向性が展開されている。運転席のドアを開くと、サイドシルやピラーなど、インナーボディを構成する黒のカーボン素地が透けて見える。軽量化に努めたプロセスを強調するように。

その奥へ目を向けると、6角形のステアリングホイールが目立つ。メーターパネルとインフォテインメント・システム用のモニターは緩くカーブを描く一体型で、ダッシュボード上に浮くように取り付けられている。

広い車内で快適性と洗練性に重点

インフォテインメント・システムはタッチモニターのほか、音声認識機能と従来的なロータリー・コントローラーでも操作できる。試乗車の場合、コントローラーはクリスタルガラス製だった。オプションでジェスチャー・コントロールにも対応する。

iドライブ・システムは第8世代の最新バージョン。iXが初採用となった。メニューを掘り下げる必要がなくなった、常時表示されるエアコン用メニューが特長の1つだ。

BMW iX xドライブ50 スポーツ(欧州仕様)
BMW iX xドライブ50 スポーツ(欧州仕様)

車内空間はX5よりホイールベースが長く、リアシート側も広々。フロアはフラットだが持ち上げられており、CLARプラットフォームを採用する従来のBMWモデルより、足の位置は上に来る。ボディは大柄だが、3列シートは選べない。

荷室容量は充電システムなどに空間が食われ、500Lと平均以下。アウディeトロンより160L、X5より150Lほど小さい。リアシートを折り畳めば1750Lへ拡大できる。

インテリアには、リサイクル素材を積極的に採用。シートカバーは、ポリエステルから作られたマイクロファイバー生地が用いられている。試乗車には透過率を変更できるオプションの巨大なグラスルーフが装備され、車内はとても明るかった。

iXのドライビング体験は、想像通りX5と明確に異なる。加えて、他ブランドの純EV SUVとも違うものだった。

重点が置かれているのは、快適性と洗練性。どちらもiXの強みといえる水準にある。パフォーマンス重視のiXも前述の通り控えているが、xドライブ50の優れたバランスは、より多くのユーザーにフィットするだろう。

この続きは後編にて。

記事に関わった人々

  • 執筆

    グレッグ・ケーブル

    Greg Kable

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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