キア・プロシード 1.5 T-GDi GTラインへ試乗 もっと運転を楽しめるハズ 小変更

公開 : 2022.01.08 08:25

○:運転しやすく軽快なシャシーと実用的なボディ △:活気不足のエンジン フェイスリフト版を英国編集部が評価しました。

カローラのライバルがフェイスリフト

数年前のキアなら、スリークなシューティングブレークであったとしても、あまりカッコイイとは感じられなかっただろう。だが、最新のスタイリングは違う。欲しいと思わせるのに充分な仕上がりにある。

しかもキアには、スティンガーやEV 6、ソレントなど、より訴求力の高いモデルが揃っている。ロゴも一新され、韓国ブランドへのイメージも変わりつつある。

キア・プロシード 1.5 T-GDi GTライン(英国仕様)
キア・プロシード 1.5 T-GDi GTライン(英国仕様)

トヨタ・カローラのライバルに当たる、Cセグメントに属する現行のプロシードは、2018年に発売が始まった。モデル中期を迎えてフェイスリフトを受け、ガソリンエンジンのみの仕様で英国へ届けられている。

エンジンには2種類あり、今回試乗したのは1.5L 4気筒のターボガソリンを搭載する1.5 T-GDi。6速MTのほかに、7速デュアルクラッチATも選択できる。

プロシードのトップグレードに与えられるのは、最高出力203psを発揮する1.6L ターボガソリン。ホットハッチのヒュンダイi20 Nにも積まれるユニットで、こちらではMTが選べない。

1.5Lエンジンのプロシードは、1.6L版よりスポーティ度が低い。そのかわり、典型的なファミリーカーとして運転しやすく、日常的な使い勝手も良い。見た目と同じように優しいクルマだ。

軽快なシャシーながら活気不足のエンジン

運転した印象は快適そのもの。丁度いい運転姿勢を取りやすく、スリムな窓ガラスの形状にも関わらず、運転席からの視認性も良好。後ろ側も。主要な操作系の重み付けは丁度良く、ロジカルに妥当な位置へレイアウトされている。

特に気持ちを高ぶらせるような個性はないものの、むしろ長時間穏やかに運転するうえでは、重要な特徴でもある。だが、運転がつまらないわけではない。軽快なシャシーが、楽しさを与えてくれる。

キア・プロシード 1.5 T-GDi GTライン(英国仕様)
キア・プロシード 1.5 T-GDi GTライン(英国仕様)

サスペンションがタイヤをしっかり路面へ追従させ、ドライバーのステアリング操作に合わせて、積極的にフロントノーズが向きを変える。それでいて硬すぎず、快適性が犠牲になっていない。

適度に快適で洗練された乗り心地と、爽快な操縦性が、使い勝手の良い中型のワゴンボディへ上手に組み合わされている。いうなれば、フォルクスワーゲン・ゴルフ・ヴァリアントのようなまとまりだ。

ただし、1.5Lエンジンは少し期待はずれ。最高出力159psと最大トルク25.8kg-mは、このクラスのMT車なら充分活発に感じられるはず。だが実際はそこまでではなく、改めてスペック表を見直したほど。パワー感が足りず、盛り上がりに欠ける印象だった。

慣らし運転が充分に終わっていなかったことも、影響はしていそうだ。試乗車の走行距離は数kmという浅さだった。最近のエンジンは高効率を求めがち。ドライバビリティより、CO2削減の方に軸足が置かれているのだろう。

記事に関わった人々

  • 執筆

    マーク・ティショー

    Mark Tisshaw

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

関連テーマ

おすすめ記事